* change of heart *
□2話 出会い
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「大丈夫だよ。怖がらないでね」
しゃがんで肩掛けバックから傷薬を取り出して怪我をしている所に使う。
『どうして…?』
「えっ?理由いる?……はいっ終わり!」
『……ありがとう』
「どういたしまして!!」
やっぱり周りから変な目で見られてる。でももう慣れちゃったな。
ゆっくりと起き上がるグランブル。
もう一度お礼を言うとフラフラと近くの草むらへと姿を消す。
その姿を立ち上がって見送る。
大丈夫かなぁ心配だな。
「テメェはポケモンと話せるのか?」
突然後ろから声をかけられる。さっきのゾロアを連れた黄色の髪の男子だ。
「え?う、うん。そうだけど」
「……そうか」
くるりと向きを変えて歩き出そうとする。
何なんだろ?やっぱり信じてくれないのかな。
あ、お礼言わなきゃ!
「あのっ!! ありがとうございました!! 」
「…は?馬鹿じゃねぇの?勘違いすんじゃねえ。邪魔だっただけだ。それに自分の身くらい自分で守れよ」
「うっ、そうですよね…。あの、名前聞いてもいいですか?」
「……ツバキ」
そう言って立ち去っていく。
ツバキくんか…よし覚えた。
その後に予鈴が鳴りその場で見ていた生徒たちが学校へと急ぎはじめる。
私も急がなきゃ。
あれ?なんか忘れてるような……。あ!
「ああっ!! ガーベラ忘れてた!! 」
端の方でボーッとしているガーディを見つけて駆け寄る。
「ガーベラ!! ゴメンね!! ……あれ?ガーベラ?」
『…あぁ……カエデ』
「どうしたの!? ケガとか!? 」
ガーディの身体を隅々と目を配る。ケガはないようだ。
良かったぁ。じゃあどうしたんだろ?
『僕強くなるよ。彼女に似合うようにならなきゃ』
「え?うん、頑張ろうね!! って遅刻しちゃう!!」
何のことだろうと首を傾げながらも走りだす。
彼女がガーベラの初恋がこの時だと気づいたのはずっと先の事だった――。