* change of heart *
□2話 出会い
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*カエデside
「ふわぁ〜っ、眠いなぁ」
長い淡い金色の髪をなびかせ茶色いカーディガンに赤いリボン、赤を基調としたスカートを身にまとっている少女が綺麗に整備された道路を歩いている。
「行こっか、ガーベラ!」
私がガーベラと名付けたガーディに話しかける。
『僕はバトルしたくないから行きたくないよカエデ』
「行かなきゃダメだよ?強くならなきゃ!」
周りからしたら変な子に見られるんだろうなぁ、ポケモンと話してるなんて。でも話せるのは本当だから仕方ない。
それにしてもバトルは私には向いてないんだろうな。
こないだなんて相性の良いこの子でクルマユに負けたし…。
そのことを思い出すとヘコむ。
そんなことを考えていると目の前に立派な学校が見えてくる。
(落ち込んでても仕方ないよね!今日も頑張ろ!)
気持ちを入れ替えて校門に入ろうとしたその時だった。
遠くから地響きがどんどんと近づいてくる。
「きゃっ!? 何?」
『ぐ、グランブル!? こっちに来る!?』
周りの物をなぎ倒して狂ったように走って来るグランブル。
どどどどうしよ。私は足動かないし。ガーディも立ちすくんでるし。このままじゃ間違いなく巻き込まれる。ヤバい――
その時だった。
「邪魔。ミラ、『イカサマ』」
見たこともない黄色い髪の男子がゾロアを出して聞いたこともない技で吹き飛ばす。
そしてグランブルは激しい音をたてて木にぶつかった。グランブルはぐったりとその場で気絶する。
「…?…た、助かったの?」
力が抜けてへなへなと座り込む。
腰が抜けちゃった。
それにしてもあの小さい黒い子強いなぁ。
そんな事をぼんやりと考えていると遠くから息を切らして少年が走って来た。
「はぁ、はぁ、ごごめんなさいっ!!! 言うこと聞かなくて!!」
グランブルのトレーナーかな?助かったから良いけど…。
さっきの助けてくれた人を見上げる。
あ、ちょっと格好いいかも。
少しの間じーっと見ていると黄色の髪の男子が口を開いた。
「トレーナーやめちまえ。つーかそんな資格ねぇよテメェなんかに」
「そんな!!?」
「!!?」
え!? 何もそこまで言わなくて良いんじゃない!?
そりゃあ周りの人を危ない目に遭わせたかもしれないけど!!
黄色の髪の男子は続ける。
「今すぐグランブルを手放せ。ポケモンを道具としか思ってない奴にトレーナーやる資格はねぇって言ってんだ」
「………くっ!!」
グランブルを置いて少年は逃げだしてしまう。
どういうことだろ?よくわからないんだけど…。
あっ!! グランブルどうしよ!?
無理やり立ち上がってグランブルの下に駆け寄る。グランブルはそれに気づきうっすらと目を開けグルルと低い声で威嚇する。