* change of heart *
□1話 昔話
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シューレン地方はとても広い地域で多くの気候が一つの地方に集まったような土地。
その郊外から少し離れた庭付きの大きなシンプルな家。
普段は母と子とポケモン達が暮らしている静かな家だ。
「雨、強いね」
長い銀色の髪に赤い瞳をもった女性は椅子に座りながら窓越しに外を見て呟いた。
「どしゃ降りだね。これじゃあレン君と遊べないなぁ」
その隣にいた黄色い髪に赤い瞳をした少年も同じように外を見て呟いた。
「残念だったね」
「家の中でフィルとリンカと遊ぶからいいよ。ね?」
そう言ってボールの中のラルトスとロコンの方を見やる。
嬉しそうに呼びかけに答える二匹。
「ねぇ、ツバキ。今日のお昼ご飯は何がいい?」
「パンがいいな!!」
「じゃあサンドイッチにしようか?」
「うん!!」
母さんは椅子から立ち上がって台所へ向かって冷蔵庫を開ける。
その一連の動作を見ていると自分の持っているモンスターボールの一つがカタカタと揺れる。
「どうしたのフィル?」
自分のツノを赤く光らせて何かの危険を察知し、主人にそれを必死に伝えようとするラルトス。
しかし小さい子供には分からないわけで。
「母さん。フィルの様子が変だよ?」
「あら、何かしら?」
母さんが様子を見に僕の方へと歩いてくる。
ラルトスのボールを覗き込もうとした時だった。
急に玄関の方で壊れるくらいのドアの開ける音が響いた。