* change of heart *

□10話 初ゲット!
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*ツバキside



『これで最後! 『シャドーボール』!』

この前にオレと交換して進化し、カエデの手持ちに戻したゲンガーのスターチス。
そのスターチスが撃ち出した黒く禍々しい球体は野生のライボルトを戦闘不能にした。

現在、俺たちは避暑地(良く来る森)でバトルの練習をしていた。
この森は涼しい。
木陰もあるのも一つの理由だが、近くに小川が流れていることが一番の理由と言える。
ここは練習をするには打ってつけの場所だった。

カエデはバトルを終えるとすぐに手を離し顔をオレから背ける。この練習方法を始めてからずっと。
カエデには無理をさせてるのかもしれない。

「この練習方法じゃなくてもいいんだぞ? 無理する必要はないからな?」

「む、無理なんてしてないよ!」

身を乗り出して抗議をするカエデ。
別に無理してないならいいんだけどな。
突然、カエデは俺の後ろの方へと視線を移した。

「あ、モココだ! もふもふだ! ツバキくん、捕まえていい!?」

興奮気味なカエデが指差す方にはでんきタイプのモココ。
ちょっと離れた場所にいた。
確か前にモココの進化前、メリープを捕まえたがってた気がする。

「ああ。モンスターボール持ってるか?」

「うん! じゃあ行ってくる!」

モココぐらいならアイツ一人でも余裕だろうな。
そう思いながら駆け出すカエデを見送る。
その後、オレはずっと気になっていた鬱蒼とした木々の森の奥に隠れている洞窟の入り口へと足を進めた。









周囲を注意しながら洞窟の中に入ると中は真っ暗で何も見えなかった。
ただ洞窟の中はとてもひんやりとしていた。きっと地下水でも湧いているのだろう。

キュウコンのリンカを出して特性の『ひでり』で洞窟内を照らし出す。
洞窟の中はバトル練習が出来そうな程広く、ポケモンたちは眩しそうに目を細めていた。
それを確認し終えるとオレは洞窟を出てカエデの様子を見に行った。




「いけっ、モンスターボール! 」

カエデの声が聞こえる。
そちらの方へと目を向けた。
モンスターボールはモココに当たりはするものの弾かれてしまう。

「……あれ? も、もう一度! えいっ!」

一生懸命にモンスターボールを投げ続けるカエデ。
モココに幾度なくぶつかっては転がり落ちるモンスターボール。
かなりシュールである。
そして純粋故に酷い。

「おいっ、ストップ! いくら何でも酷すぎる!」

「……?」

きょとんとして首を傾げるカエデ。

「モココ、戦闘不能になってるから!
戦闘不能の奴は捕まえられないのは知ってるよな!?」

「そうだった…! 忘れてたぁぁ……」

頭を抱えるカエデ。
カエデは戦闘不能になったモココに幾度もモンスターボールをぶつけていたのだった。
流石にモココが不憫に思えてくる。

カエデは思い出したかのようにモココの方へ駆け寄るとげんきのかけらを使い回復させた。
モココは怯えた表情でカエデを見て一鳴きすると一目散に逃げ出してしまった。

「怖がられた……」

何を言われたのか分からないがカエデは酷く落ち込んでいた。
 
 
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