* change of heart *

□5話 rainy day
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*ツバキside


黒の配色が多いどんよりとした曇り空。
今にも雨が降り出しそうなその空をぼんやと教室から眺めているツバキ。
端から見れば全くと言って良い程に授業を放棄している生徒だ。
先生が熱心にいろんな地方の特色を説明しているテンションとは真逆にツバキは後悔していた。

今日はスクールを休んどきゃあ良かった、と。

「話を聞いてるのかツバキ!」

「…聞いてますよ」

授業態度が良くなくてもテストの成績さえ良けりゃあ良いという先生や授業態度も評価するという先生もいる。
この先生は言わずもがな後者だ。

「じゃあ質問しよう。テンガン山の頂上にある神殿は?」

「やりのはしら」

「ではシンオウ地方にある4つの湖は?」

シンオウの湖…。あぁ、三大湖と送りの泉のことか。

「シンジ湖、リッシ湖、エイチ湖、送りの泉」

「ふむ。では最後、質問する前に私は何処の地方の話をしていたでしょう?」

あ゙ー何だっけな、静電気で浮かぶ石の話をしてたような。確か場所は……。

「…イッシュ地方」

「む、正解だ。すまなかったな、疑って」

「いえ、別に。でもオレだけでは不公平ですよね?」

そう言いながら机に突っ伏しているヒイラギにわざとらしく目を向ける。
彼は気持ちよさそうに眠っていた。
ツバキの目論見通りに先生はヒイラギの近くまで行くと注意をした。

「起きろヒイラギ!」

「うぇ!? ね、寝てませんよ!」

「ほぉ、そうか。では質問だ」

飛び起きたヒイラギに先程オレにしたように質問を幾つかする。

「ジョウト地方でモンスターボールが普及する前に捕獲するために加工して使っていた木の実は?」

「ぼんぐり…です」

「では焼けた塔、すずの塔がある町は?」

「んん? 確かゴーストタイプのジムがあるところだから……エンジュ?…です」

躓きながらも正解していくヒイラギ。

「では、最後。私がこの質問をする前、私は何処の地方の説明をしていたでしょうか?」

「そりゃもちろん、ジョウト地方です!」

「はっはっはっ! そうか! お前には特別に課題を出そう!」

「ええ!! 何でですか!?」

驚きつつも落ち込む様子を見せるヒイラギ。自分で仕掛けた癖に興味を示すことなく外を見ているツバキ。
そこで授業終了を知らせるチャイムが鳴った。

「はい、今日はここまで! ヒイラギは後で職員室に来るように! では号令!」

こうして授業が終わった。
そしてポツポツと雨が振り始めた。
 
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