* change of heart *
□6話 バトルフェスティバル!
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*ツバキside
カフェ「Sunshine Forest」の営業時間は20時まで。
閉店後、オレや同じくここで働いているカエデは皿洗いや清掃をして過ごしていた。
仕事を終えてロッカールームへ戻ってふと時計を見ると現在21時。
着替え終えたオレとカエデは長椅子に座って珍しく話をしていた。
「明日はバトルフェスティバルだねー」
「そうだな。そういやヒイラギのヤツが絶対にリベンジしてやる、とか言ってたな」
「ツバキくんなら勝てるよ!
私は応援しに来てって言われたけどね。やっぱり行かなきゃダメかなぁ…」
「知らねえよ。つーか中途半端に優しくするからアイツも諦めねぇんだろ」
「うーん、そうなのかな?」
この前、雨の日の出来事があってから二人の距離は少し縮まった。
今は明日のトレーナーズスクールで開かれる行事、バトルフェスティバルの事で盛り上がっているところだ。
「お前ってバトル弱かったよな?」
「うん、驚くほど弱いよ」
「バトルも勉強も出来ないって…」
呆れて溜め息をつく。
それを見たカエデは慌てて弁解を始めた。
「わ、私だって得意なことあるよ! 例えば……お料理とか!」
「おー、そうか。じゃあヒイラギんトコに嫁いでこい」
「ツバキくんのいじわるー!」
頬を膨らませ、こちらを睨んでくる。本人はちゃんと怒っているつもりかもしれないが微塵も恐さが感じられない。
そんな事をしているとロッカールームの扉を叩く音がした。
「そろそろ帰った方がいいと思うわ。明日、早いんでしょう?」
扉の向こうからの声の主はサクラさんだった。
「はーい! ツバキくんも行こう?」
カエデが返事をして立ち上がる。
その呼びかけに答えるようにオレも立ち上がりロッカールームを出る。
シランさんとサクラにお疲れ様です、と声をかけてカフェを出た。
昼は暖かい気候だったのに夜になると涼しく感じられた。
「明日、頑張ろうね!」
「精々一回戦くらいは勝てよな」
「うん、全力で頑張る!」
おやすみー。とカエデが手を振って家へと入っていく。
と言っても、お互いカフェから十メートルも離れていないけれど。
夜空を仰ぎ見る。空気が透き通っていて星が綺麗に見えた。