* change of heart *
□2話 出会い
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*ツバキside
ぼやける視界の前には何時もと同じ天井。
「……また…あの日の夢かよ」
いつまで経っても忘れないあの日。
でも思い出すたびに萎えるなコレ。
ゆっくりとベッドから起き上がる。
今いるのはシンプルなデザインで最低限の物しか置いていない部屋を見渡す。
「あぁ、リンカ。おはよ」
ラグマットの上に寝そべってた九つの尾をもつ金色の毛のポケモン、キュウコンのリンカを撫でてやる。
すると気持ち良さそうに目を細める。
なんかこうしてると和むな。
「あぁ、今日だっけ?転校日って」
ふと大事なことを思い出す。
そういや三年生で入ってくるのは初めてって言ってたっけ。まぁ、どーでもいいけど。
それで思い出した。着替えなきゃな。
ハンガーポールにかけてあるワイシャツに手をかける。
「ん、何慌ててんの?リンカ」
あたふたしてどこかに隠れようとしているキュウコン。あぁ、女の子だったっけ。家族同然なんだしよくね?まぁいいや、ボールに戻すか。
ワイシャツに青いネクタイそれに黒いカーディガンと黒を基調としたズボンを身に纏う。
一通り着替え終えると下からいい匂いがしてくる。サーナイトのフィルが朝御飯作ってくれてるしそろそろ下りようか。
『おはようございます、主人』
「おはよ、フィル」
テレパシーで話しかけてきたのは家事全般をやってくれるサーナイト。毎日本当に助かるなぁ。
冷たい水で顔を洗う。その後ボールからキュウコンとゾロアを出す。
まだ眠いのでソファーにいるキュウコンに抱きついて瞼を閉じうとうとする。
温まるなー。何かゾロアも頭に乗ってるけどいっか。
いや12sも首に乗ってたら折れるなコレ。
キュウコンもゾロアも嬉しそうにツバキにくっ付いている。
『主人!朝御飯いらないんですか?』
このままで5分位した後サーナイトに起こされる。あれ?首の骨イカレたかな。
「あー、分かってるよ」
キュウコンから離れてゾロアを引き剥がして首を回してバキバキと音を鳴らした後に椅子に座る。
テーブルの上に並んだ朝御飯はトーストとベーコンエッグに珈琲。
床のお皿には皆の為のサーナイトの手作りのポケモンフーズ。
「頂きます」
うん、いつもながらおいしいな。
それはポケモンたちも同じらしくペロリと平らげる。
「ごちそーさま」
『お粗末様でした』
「クゥ、キュウ」
「コン!」
片付け終えた後、身支度をしてポケモン達をボールに戻しスクールへ行く準備をする。
何となくだが今日一日面倒くさくなりそうな気がする。
「じゃあ行くか」
自宅のドアを開けると太陽が眩しく自分を照らした。