短編集
□夢の続き
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ゆっくりと目を覚ます。寒いし頭が痛い。視界がぼやける。
「…此処は…?…あぁ…僕の家か……」
すっかり変わり果ててしまった自分の家を見渡す。自分の横に寄り添っていたラルトスとロコンを見つける。
そしてボロボロになった家具や壁たち、もうきっと住むことはできないだろう。
「奴らは…帰ったのかな……?」
ラルトスとロコンの二匹の頭を撫でる。そんな悲しい顔をしないで。
忘れもしない先程の出来事。復讐なんて考えたが、今は何もする気力がない。
「……起きたか」
声のするほうに目を見やると青い髪の女が立っていた。
僕の後ろに隠れるラルトスとロコン。全然気づかなかったなぁとぼんやりと考える。
「……アイツはどうした…?」
母さんの命を奪ったあの赤髪の男。
憎くないはずがない。
「奴は貴様の攻撃で火傷を負って本部へと戻った。貴様が此処でやることが無いのなら直ぐ連れて行くが?」
その言葉の真意がわかるまで時間がかかった。
「母さんのお墓…作りたい」
「…そうか。ならば私も手伝おう」
「…うん」
母さんの命を奪った奴の仲間だけど、何故か信用してもいいような気がした。
ラルトスとロコンをボールに戻し外に出る。もう雨は上がっていて空は澄んでいた。
青髪の女に墓の場所を決めとけと言われたので近くにある大きな木の下に母さんを埋めることにした。
少し待っていると家のシャベルを持った青髪の女と母さんを抱きかかえた母さんのニドクインとランクルスがやってきた。
「クイン!クル!動いて大丈夫なの!?」
大丈夫と言うように一鳴きする二匹。身体の至る所に傷がある。とても痛々しい。
母さんの身体は血が拭き取ってあり服も他の物に変えてあった。
「こういう物は自らの手で作るものだろ?」
青髪の女はそう言うと二つあるシャベルのうちの一つを自分に渡す。
汗が落ちその雫が地面に染み込む。ある程度掘り進めていると彼女はポツリと呟いた。
「すまなかったな。こんな事になってしまって……」
「……」
そんな一言で片付けて欲しくない。此処までしてくれた感謝はしても憎しみの感情は消えはしない。
「私は操られている奴を助けたいんだ。皆と笑い合って過ごしたあの頃のようにに戻りたい……それだけなのに」
青髪の女はぎゅっと唇を噛んで掘り続ける。