チロルのBook

□タブーは絶対に言っちゃダメ
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あたしはギルドのカウンターで壁とグレイに挟まれて座ってた。

だけど今は少し状況が違う。

なぜならば、あたしはグレイに手首を捕まれて壁に押さえ付けられている。
そしてグレイがニヤリとした笑みを浮かべているという状況だ。

それをギルドの皆が見ている。

そんな所を見られたら恥ずかしくて穴があっから今すぐにでも潜りたいわ!!

無駄な抵抗なんだろうけど…。

ていうか、こんな状況になっちゃったのって絶対あたしがさっき言ったことが原因よね。


〜数分前に遡る〜

あたしはただ思ったことを口にした。


「グレイってさ、へたれよね〜。」


「…あ?」


「皆から言われたりしない?」


「…。」


あたしはただたんに思ったことを口にしただけだったのに、それはグレイにとってタブーだったみたいで。

グレイはあたしの手をとり、体を近づけあたしは壁とグレイに挟まれた。


「え!?」


「へたれはこんなことすんのかよ…?」


「し…しませんからはなして!ほら、ギルドの皆も見てるし…!」


「ヤダ。」


「なんでよ!?」


「なんでもだ…。」


あたしは汗が背中をツゥーっと流れるのを感じた。

その後は必死にグレイから抜け出そうと考えてみたけど思いつかなくて。
考えた末、力ずくしかないと思い何度も抜け出そうとしたけどやっぱり男の人の力には敵わなかった。


〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

自業自得じゃんあたし…。なんて考えるもあたしは必死にグレイから抜け出そうとする。


「ねぇ…、グレイはなしてくれないの…?」


ちょっと上目遣いで聞いてみる。
グレイの顔がほんのり赤くなった気がしたけど今はそんなこと気にしていられない。


「…う〜ん…。じゃあ、オレからのキスに堪えられたら話してやる。」


「え…。」


グレイはへたれだと素直に思うけど、キスは何度かしたことがあって正直うまいと思う。
そんなグレイのキスに堪えろなんて無理よ!


「いいのかダメなのかどっちだよ?」


「む、無理よ!堪えられるわけないじゃない!」


「ふーん…。じゃ、このままだな。」


「それもヤダ。」


「我が家なお姫様だなぁ。よし!オレが決めてやるよ!」


「えぇ!?」


「てことでキスな。」


あたしは言葉で抵抗しようとしたけど、する前にキスをされた。

最初は触れるだけだったのも徐々に深くなっていき最終的には舌が絡み合っていた。


「…んぅ…。ふ。」


「……はぁ、…は…。」


ギルドの皆の顔は見えなかったが、多分皆赤い顔をしてこちらを見ていることだろう。

数分してようやくグレイが口を話してくれた。

あたしはこんなに激しいキスをしたことがなくて頭が爆発寸前だ。
目も涙目になっていることだろう。


「…グレイのバカぁ…。」


「お前がへたれとか言うから悪いんだろうが。」


「あたしは素直に思ったことを言っただけよ!」


なんてギャーギャー言い合いをしていたら、あたし達の上に影が出来た。

二人で恐る恐る顔を上げてみたらそこには、ギルドの最強女魔導師エルザが立っていた。


「「エ…エルザ…、…さん。」」


見事にハモった。


「おい、グレイ。私には貴様がルーシィを襲っているようにしか見えんのだが…。」


そういえばグレイはまだあたしの腕を壁にぬいつけたままだったんだ…。


「そういうわけじゃねぇよ…、エルザ。」


「じゃあ何故そんな格好をしているのだ?」


「や…。これには深い事情があってだな…。」


「ほぅ。私に嘘をつこうというのか?」


「だから、ちがうって!」


「じゃあ、私と一緒に向こうで話そうではないか。」


「はっ…え?」


グレイは半ば無理矢理エルザによって連れていかれた。
可愛そうに…。

ポツンとそこに残されたあたしは何がなんだかわからなく、少しの間放心していたがレビィちゃんに声をかけられて我に帰る。


「あの…、ルーちゃん?大丈夫?」


「レビィちゃん…。」


「ん?」


「何がなんだかわからないんだけど、こういう時どうしたらいいんだっけ…?」


「…ま、まずは落ち着こ!ルーちゃん。」


「あ、うん…。」


あたしはまた少しの間放心状態になっていたがボロボロになったグレイが帰ってくることによって放心状態が解かれた。


そしてあたし達はギルド内で散々からかわれたのであった…。


‡END‡

(もうオレがへたれじゃないってことがわかったかよ?)
(はい…、十分に。)

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