チロルのBook

□大好きなんだよ…。
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あたしには好きな人がいる。


その人の名はグレイ・フルバスター。


だけど、グレイはあたしのことをただの仲間としか思ってないだろう。


それは当たり前だ。


だってグレイの隣にはいつも水の魔導師がいるから…。


その水の魔導師の名はジュビア。


彼女はグレイのことを愛している。


あたしに負けないくらいに…。


いや、もしかしたらあたし以上かもしれないかな…。


まだジュビアが好きなだけならよかったのかもしれない。


だって、グレイもジュビアのことが好きだから。


笑えるでしょ?


好きな人がいるってわかっていながら好きになっちゃうなんて…。


自分で自分を笑ってしまうことにも情けなくなる。


そして一人で泣く。


こんな日が続いていた。


たまにグレイがジュビアのことを相談してくるたびにあたしの心が悲鳴を上げる。


もうこれ以上ジュビアの話をしないで!私の気持ちにも気づいてよ!って…。


もういっそのことグレイへの気持ちを忘れてしまいたい。


こんなに惨めで寂しい気持ちは嫌だから…。


そんなことを考えていたらふと声がかかる。


「ルーシィ。オレら今から仕事行ってくるから。」


「へ…へぇ…。」


「そうです!グレイ様とふ・た・り・で!」


知ってるわよ。


「…そっか。いってらっしゃい…。」


「おぅ。行ってくる!じゃーな。」


「それでは行ってきます。」


…うまく笑顔つくれてたかな…?


多分二人の反応からしたら出来てたよね。


てか、何であたしに報告にくるのよ?


そして、最後のグレイの『じゃーな』が結構心に響いた…。


フラれたわけでもないのに…。


泣きそうだ…。


ギルドで泣いて変に思われたくないし、皆に心配もされたくない。


だからあたしは毎日自分の家で泣く。


そしてまた今日も泣くだろう。


泣く前に家に帰ろう。


「じゃあナツ、あたしもう帰るね。」


「そうか?またな!」


「うん!また明日。」


やっぱり『じゃーな。』より、『またな。』の方がいいわね。


そしてグレイとジュビアは今ごろ二人で仕事をこなしてるのかな?なんて考えながらあたしはまた同じ日を繰り返しながら帰路に帰るんだ。


‡END‡

だけど好きな人には幸せであってほしい、だからあたしは願います。
ずっと…お幸せにね…。

こんなに弱いあたしは…嫌いだ。

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