チロルのBook

□風邪が幸せを呼ぶ?
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今日もいつもと同じ時間にルーシィはギルドへ行く。
いつものように皆に挨拶をしてグレイのもとへと足を動かした。


「おはよう!グレイ。」


「…ん?あ、おはよ……。」


ルーシィはグレイにも皆と同じように挨拶をする、だがグレイからの挨拶がいつもより元気がなくどこか上の空のようだ。


「…グレイ?元気ないみたいだけどどうかした?」


「いや……。大丈夫じゃねぇか…?」


「なんで疑問形なのよ。」


グレイからはいつものような覇気がなく、まさかと思いルーシィはグレイに手を伸ばす。


「ちょっと、失礼…。」


「…ん…?」


ルーシィはグレイの前髪をかき揚げ、おでこ同士をピタっとくっつける。
するとグレイのおでこからは熱い熱が伝わってくる。さっきのルーシィの『まさか』が的中したのだ。

「ん〜。やっぱり熱いわね。グレイ、熱あるんじゃない?」


「え…、熱…?」


「うん。まさかグレイ、自分じゃ気づかなかったの?」


「そういえば朝から頭がフラフラするし、体が重いな…。」


「完全に熱じゃないの…。」


「……そうなのか…?熱出るのって子供の時以来だな…。」


「どんだけ頑丈なのよ、あんた…」


いつもよ話し方がりおっとりしていて舌ったらずなグレイに、少し呆れつつもこれ以上ギルドにいたら熱が上がる一方だ、とルーシィは考る。


「グレイ。今日は家に帰った方がいいわよ。」


「…でも…。まだギルド来たばっかだし……。」


「帰った方が楽よ?」


「でも…。」


「帰れ。」


「…。」


何を言っても帰ろうとしないグレイに、どんだけギルドが好きなんだと内心思いつつルーシィは最後の切り札を出す。


「ハァ…。じゃあ、あたしがグレイの看病してあげるから帰りましょ。ね?」


「おぅ…。」


即答するグレイ。
ルーシィは心の中でガッツポーズを決めながらグレイの手を引きミラに声をかける。


「ミラさーん!グレイが熱あるみたいなんで私達帰りますねー!」


「あら、そうなの?お大事にね。」


ルーシィはグレイの手を引いたままギルドを出ていった。
出ていった後のギルドでは、ルーシィがグレイの手を引いたまま出ていったことを皆ニヤニヤした顔で見つめ、


「どうしたんだ?あの二人。」


「いつもなら反対なのにな。」


「でぇきてぇるぅ〜。だね、ナツ!」


「そうだな!」


「恋敵…!グレイ様と手を繋いで……、ゆるさない…!!!」


「うふふ。グレイは熱が出たみたいよ。ルーシィが看病するんじゃないかしら?」


「え!?グレイ様が熱で、ルーシィが看病!?ならジュビアが看病を…!」


「グレイが熱って珍しいこともあるんだな。」


「確かに…。あのグレイだもんな…。」


二人が出ていったギルドではこんな会話が繰り広げられていた。
もちろんグレイとルーシィは知らないまま…。
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