キセキ。
□〜帰国〜
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一度切れてしまったら、もう繋がらないーー。
もとに戻る方法なんて。
ーーー
ふぅ…。
最近は、嫌な夢ばかり見る。
あの人が出てくる夢。
もう、会えないって分かってるのに…
「梨紗〜。起きた?」
ぼんやりとしていた頭が、母の声で覚めた。
「うん。」
「ちょっと、話があるんだけど…ご飯の時に話すから、早めに準備しておいてね」
「うん」
何の話だろう。
イギリスに引っ越してから10年。
特に大きな問題も無く、母と二人で過ごしてきたというのに。
とりあえず、準備をして、わたしは朝食のあるリビングに向かった。
母と向かいあうと、実はね、と言って話を切り出された。
「…日本に、帰ることになったの。」
え…
日本。
それは、私の母国であり、楽しい思い出を残した場所…
とともに、辛い思いをした場所。
気まずくなりそうだから、日本を出てから一度も行っていなかったのに…
どうして。