短編夢
□きらきら星の子守唄
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怖くないよ 空を見てごらん
星たちが君を守っている
だからおやすみ よい夢を
月の揺りかご ゆらり揺れて
明日に星は流れてく
「…よく歌っておりますよね。なんの歌ですか?」
「この歌?んー…なんの歌だろう?」
ノボリの問いかけにナマエは口ずさむのをやめ、考えるように首を傾げる。
しかし本人もよくわからないようで、ノボリは唖然とする。
「知らないのに、歌っていたのですか?」
「子供の時にお母さんがよく子守唄で歌ってた歌なんです。だから、歌の名前とかは実はあんまり知らないんですよ」
「…あぁ、なるほど」
それならば仕方ないかとノボリは納得した。
ナマエはそれに小さく笑うと、途切れさせた歌をまた歌い始めた。
ゆったりとした午後の時間。
心地よいリズムと音色が流れ、ノボリはだんだんと微睡んできた。
連日の仕事の疲れが思いのほか溜まっていたらしい。
「…ノボリさん、寝ます?」
「いえ……」
「でも、ずっと仕事で疲れてるでしょう?無理なさらないでください」
「……えぇ、そうですね…そうさせていただきます」
せっかく彼女と過ごせる貴重な時間だが、強烈な眠気に逆らえそうにない。
彼女には悪いが、言葉に甘えさせてもらうことにした。
「ノボリさん、どうぞ!」
ナマエはパッと顔を輝かせると、自分の膝をポンと叩く。
どうやら膝枕をしたいらしい。
ノボリは小さく苦笑すると、その場で横になり、ナマエの膝に頭を乗せさせてもらった。
「…重くないですか?」
「大丈夫ですよ。ゆっくり休んでくださいね」
「はい……ありがとうございます、ナマエ…」
横になった途端に一気に強くなった眠気に、ノボリは抗うことなく瞼を閉じる。
柔らかく髪を撫でるナマエの手のぬくもりと、眠りへと誘ってくれる優しい子守唄に包まれながら、ノボリの意識はゆっくりと沈んでいった。
(きらきら星の子守唄)
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