H×H(長編)

□分からないから
2ページ/2ページ

「うっ……」

「起きたか?」

目を開けると確かそこはクロロの部屋

「あれ、僕…」

「ヒソカがお前を担いで何処かへ
行こうとしてたから引きとめた」

「あ、ヒソカ!僕はヒソカのとこに行かないと!」

「行くな!」

「え…?」

怖くなった

クロロが念を出していたわけでもない

初めてこんなに怒ったようなクロロの
声を聞いたから

まだ会ってほんの数日しかたっていないけど
わかる…

こんな寂しそうな顔も見たことがない

「いや、…すまない」

”そんな顔をしないで”そう思った
自分にこんな感情が芽生えていることに
驚いた

なんでクロロはこんなに怒っているんだ?
分からないから怖い

「クロ、ロ?」

クロロの下ろした髪に自然と触れていた

刹那大きな目に僕が映る

その瞬間ふわりとベッドに座っているクロロに
抱きしめられる

「カミをほかのやつに渡したくない」

クロロの言っている意味が分からない

「何も分かっていなくていい。ただ俺から離れるな」

なんでだ?
僕はしたいように……

でも何も思えなかった
胸の真ん中が妙に暖かかったから

変な気分だった

身体が暖まるような

僕はどうしてしまったんだろうか

「別に僕は…クロロから離れないぞ」

震える自分の手をクロロの大きな背中にまわす

この暖かさ昔誰かに
味わったような


ズキッ

”転んでもなくんじゃない”

”お兄ちゃん痛いよぉ”

”大丈夫。お兄ちゃんがぎゅってしてあげる”

”お兄ちゃん暖かいね”

”心臓が動いてると皆暖かいんだ”



「カミ?……カミ!」

違う…お兄ちゃんだけじゃない

もう一人いた…なんで思い出せないんだ…?

意識がなくなってく…
僕はどうかしてる、きっと
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ