H×H(長編)

□慣れてないから
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部屋に戻ってみてもやはり
分厚い本は読む気にはならない

「今戻った」

「っ!」

物音なく入ってくるものだから
多少驚きはしたがもはや今此処にいる人物が
誰なのかに対しての驚きの方が
遥かに大きい

「ク、クロロか……?」

「最初見たらたいていの奴はそういう」

「そうか…ふっまぁ僕はオーラで
分かったがな」

たかが髪型ぐらいで見分けられないはずがない

「くだものを盗って来たが食べるか?」

「いらん、朝しか食べない主義だ。
それに盗って来たものなど食いたくもない。
クロロのせいで困っている奴は大勢いる」

「俺には関係ない。
あと、朝しか食べないのは身体に悪い」

「余計な世話だ
それこそクロロには関係ないな」

「可愛げがないな」

僕に可愛げなど要らない…
それに情だって…いらないはずだ

誰かが言ってた

誰かは忘れたけど

でも、何も要らないって
ただ必要なのは俺だけって言ってた

思いだせないな

頭がクラクラする

「風呂を借りるぞ」

「…廊下を出てすぐ右だ」

とりあえず熱いシャワーでも浴びよう

それに、うちとけている場合じゃない
僕は敵なんだから

いつまでも此処に居ると
殺される確率も高い

「はぁ、疲れた」

今日はため息をついてばかりだ

風呂を出ると無造作に置かれた下着と
シャツと短パン

短パン以外が全て白色なのはクロロの
好みなのか定かではないが
僕はパンツは履かない主義だ

いつも下着だけだが
いちおうシャツだけでも
着ておくことにしよう
短パンは寝るとき邪魔だから置いておいた

ガチャッ

「なんだ、寝ているのか」

部屋に戻るとさきほど風呂に入ったのか
白いシャツとラフなグレーのスウェット
でベッドに寝転がっていた

そしてその前を通り過ぎようと
した時だった

どくんっ

今殺せばいいのか?

だって殺すために
ここにいるんだから
やらないと

躊躇する必要はない
こいつは敵だ

それに…いつのまに僕はこの男を
名前で呼ぶようになった

そんな仲じゃないはずだ

そうだ、殺してしまおう

テーブルに置いてある果物ナイフを
手に取り不自然じゃないよう
一定のオーラを保つ

「死んで」

一気に心臓に突き刺す

ドサッ

「っ!?」

刺す瞬間体勢が逆転され
目の前には天井、そしてこいつ

「まだ爪が甘い、殺気が感じられなかったぞ」

「っそんなことない、次こそしとめる」

この男……むかつく
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