H×H(長編)
□戻れないから
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「こっこんな感じか?」
カーテンをそろっと捲って問う
「うん、似合ってるよ」
そう、僕は今人生初のスカートを履いているのだ
事の発端はイルミの一言から
****
「ねぇメイドにはメイド服って
いうのがあるんだよ」
「そうなのか?」
昨日会ったばかりのやつに親しく話す
自分がそこにいた
「うん、これ」
「は?」
まぬけな声の主の視線の先には
ヒラヒラのスカートの洋服があった
「い、いや。僕は女だが心は男なんだ!」
苦しい言い訳をするカミに顔色一つ
変えずとりあえず着替えてと言ったのだ
もちろんルールや掟に人一倍忠実なカミは
主の命令に逆らうこともできず
おずおずと試着室へ入ったのだ
そして冒頭へ
****
「う、嘘だ。似合ってるなんて//」
内心恥ずかしくガラにもない内またをする
「ほんとだよ」
「スースーする//」
スカートの裾をつかみもじもじする
ひざ下まで一生懸命スカートをさげようとするが
思い切って破ってしまいそうなので
途中でやめた
それにしてもなぜ天空闘技場なんかに
試着室があるのだろうか
話しができすぎて怖い
「作ってもらったんだよ」
「あ、そっか…え?」
「だから作ってもらったんだよ」
「エ、エスパーか?どんな念だ?
っていうか作ってもらって?試着室を?
つくならましな嘘をつくんだな!!」
「何?キミごときに嘘ついて何になるわけ?」
「うっ」
それもそうだと言い下がる
「それから念じゃないから声に出てたから」
「はっ!!」
なんということだ!
くそっ最近修行不足だな
いやまてよ、口に出さないためには
どういう修行をすればいいんだ?
口を塞ぎながら何かを考えるとかか?
いやいや!口を塞いだら息ができな…
あ、鼻があるじゃないか!←
「何百面相してるの?ていうか早く行くよ」
「あ、うん…ってどこにだ?」
「試合を見に行くんだよ」
「弟さんが出るのか?」
「ううん、あるピエロのをね」
「ピエロ?…」
ヒソカを思いついたが
その考えはやめようと振り払った
つい期待してしまう自分がいるからだ
いつのまに握ったのか早足で廊下を歩く
イルミでかいから一歩がでかいな
いや、僕も結構速いけどな!!
それに僕だって頑張ったら像くらい大きいし!!←
「あ、やってるやってる」
会場の一点を見つめるイルミの視線の先を
自分も見つめる
「…っ!」
その派手な格好は人違いとは言い難かった
「何?知り合い?」
「けhxいあ」
「何いってるかわかんないんだけど」
呆れたように言うイルミ
一方のカミはまたも百面相だった
こんな所にいるとは…
まさか奇術師に不可能はないと
言っていたのは本当なのか!?
ということは僕がここにいるのも
全て計算済み
つまりイルミも共犯!!?←
いやいや、そんな素晴らしい状況下を
こんなちんけな脳みそのやつらに
考え付くはずがない
ということはやはり偶然?
まぁそう考えるのが妥当だろう
しかし会ったところでなんといえばいいんだ?
”あ、僕家出したから”とか?
というよりあそこが僕の家であったのかと
いうことも定かではないしな…
じゃあこれはどうだ?
”おお奇遇だな、調子はどうだい?”
ヒソカはあの時いなかったからまだクロロから
聞いていないかもしれない
だから何事もなかったように少し会話を
してから姿をくらます、おお!なかなか
いいアイデアではないか!僕は天才だな!←
…ん?いや、待てよ
イルミはヒソカのことを知っているんだ
ということはヒソカは僕がイルミのメイドで
ある限りいつでも会えてしまう
ということになる…OMG!!
あ、そうだ。この際会わなければいいじゃないか
イルミにはお腹いたいからトイレとか
言っておけばなんら問題ない
しかししかしまたもや問題が。
この試合が後30分だとしてそんな長い間
トイレに行くなんて下痢にでも間違えられたら
恥ずかしいじゃないか!!
あーどうするどうする!!!!
「なるほど、クロロとか知ってるんだ」
「え?」
「今のながーーーい話し全部口に出てた」
「ぁ、あはは」
笑ってごまかそうとしたが喉がひきつった
これぞまさに不幸中の不幸