amante

□刹那、スカイブルー
1ページ/2ページ


ぐいっと押し倒されて見えた景色は、心を奪われてしまいそうな深いスカイブルーだった。

刹那、スカイブルー

「ブルー…」
か細い声で縋るようにして名前を呼ぶと、愛おしそうに目を細めたブルーは優しくヴィオに唇を重ねた。最初は触れるようだった優しいキスは、次第に互いを貪るように激しく、深くなってゆく。「んん…」心地いい。酷く甘くて、溶けてしまいそうだ。
こんなにも人を好きになるなんて、思ってもみなかった。そして、愛されると思っても見なかった。自分でもこんなに優しくされ、愛されていいのか戸惑ってしまう程に。割れ物を扱うように優しい手つきで頬を撫でられ、くすぐったさと失いたくない温もりが伝わる。自身過剰で、負けず嫌いで、でも誰よりも仲間思いで真っ直ぐで、揺るぐことのないスカイブルー。自分が縋るのも、自分の弱みを瞳にうつすのも、きっとこのスカイブルーだけ。触れていた唇が離れる頃には、全てがスカイブルーへと溶け込んだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ