□愛してる。
1ページ/3ページ






『哉、



 ――愛しちょる』




気がつくと、あの神社で私は立ち尽くしていた。


全てが始まったきっかけの神社。

龍馬さんと何度か訪れて、
初めて龍馬さんと気持ちが通じ合ったあの神社。

ただ違うのは、初めて見たときと同じように
古ぼけた神社に戻っていたこと。




「……龍馬、さん……?」
「哉っ!」
「……カナちゃん……?」
「もう!心配したじゃん!早く戻ろう?」
「……龍馬さん……」
「え?リョウマ…さん?……哉?大丈夫?」





あぁ、そっか。

私戻ってきたんだ。
現代に。もといた世界に。



……龍馬さんの、いない世界に。






「リョウマさん?って人に会ったの?」
「……うん、会ったよ。一緒に探してくれたの。
 優しい人でね、いっつも笑ってて、照れると可愛くて、
 …でもすっごくカッコよくて。
 必ず私を助けてくれて――」
 




『哉』




ふ、と。

目の前にいつもの笑顔が見えて。
あの声が聞こえた気がして。





「――っ、」







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ