夢
□愛してる。
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『哉、
――愛しちょる』
気がつくと、あの神社で私は立ち尽くしていた。
全てが始まったきっかけの神社。
龍馬さんと何度か訪れて、
初めて龍馬さんと気持ちが通じ合ったあの神社。
ただ違うのは、初めて見たときと同じように
古ぼけた神社に戻っていたこと。
「……龍馬、さん……?」
「哉っ!」
「……カナちゃん……?」
「もう!心配したじゃん!早く戻ろう?」
「……龍馬さん……」
「え?リョウマ…さん?……哉?大丈夫?」
あぁ、そっか。
私戻ってきたんだ。
現代に。もといた世界に。
……龍馬さんの、いない世界に。
「リョウマさん?って人に会ったの?」
「……うん、会ったよ。一緒に探してくれたの。
優しい人でね、いっつも笑ってて、照れると可愛くて、
…でもすっごくカッコよくて。
必ず私を助けてくれて――」
『哉』
ふ、と。
目の前にいつもの笑顔が見えて。
あの声が聞こえた気がして。
「――っ、」