「……さい」

「あん?」

「うるさいっ!!」

思い切り怒鳴った。

先輩は少し驚いた表情をしている。

ミーは自室の窓から外へ出ていった。

*ベル目線

あんなに怒っているフランをみたのは初めてだ。

殺気をおさえきれず、いつものポーカーフェイスを保ちきれず。

俺は床に何か落ちているのに気付き、拾った。

紙だった。

『本堂柚葉は我がファミリーがいただきます。かえして欲しいのなら、我がファミリーの一員となってもらいます。リグノイズファミリーより』

……!

なんだよこれ!!

よく見ると下のほうに小さな文字で何か書いてあった。

『ファミリーを壊滅させれば確実にかえってきます。どうか……お願いします。』

まさかアイツ、1人でファミリー潰しに!?

ん?待てよ、リグノイズファミリーってどこかで……。

確か前に、リグノイズファミリーを潰して欲しいっていう依頼があって
最近勢力を拡大させている悪いファミリーだって言ってたような……。

だけど成功率があまりにも低いからってうけなかったんだよな、確か。

……やっべ、いくらなんでもあいつ1人じゃ……。

俺はフランと同じように窓から外へ出ていった。

*第3者目線

「レグノイス様、大変です!!」

部下がレグノイスの元へ駆け寄る。

「どうした?」

「何者かが侵入したもようです!」

「いったいどこから入ってきた!入り口という入り口にはすべて見張りをつけていたはずだ!!」

レグノイスは椅子から立ち上がる。

「それが……正面玄関からです」

「!?」



「柚葉はどこですかー?」

口調はいつも通りだが、フランの顔には怒りという感情が滲み出ていた。

「ヴァっ、ヴァリアー!?何をする気だ!!」

「質問してるのはこっちなんですけどー」
部下達はフランからとめどなく溢れ出る殺気にただただ怯えることしかできず、誰も口を開かなかった。

「答えないなら」






「殺す」

そう言ったフランの声は、ドスのかかったようなおぞましい声だった。



「……フラン様!?」

レグラ小さく叫んだ。

まさか本当にアジトを潰しに来るとは思ってなかったのだ、当然といえば当然だろう。

しかしフランはレグラを睨み付け、他の部下のように殺そうとしていた。

「おいクソガエルッ!!」

フランはハッとして声のするほうへ振りかえる。

「そいつは殺すな」

「何言ってるんですー?敵ですよー」

ベルが来たおかげか、なぜかフランの殺気は収まっていた。

「そいつは柚葉を助けようとしてたんだ」

「……フラン様、私のことは殺してくださってかまいません。……そうすれば柚葉さんのマインドコントロールはとけます」

レグラは胸の前で手を握り俯く。

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