進撃の巨人(連載)

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 九月一日、キングス・クロス駅周辺には一人では持ちきれないような大きな荷物をカートに乗せた少年少女やらが、ぽつりぽつりとまばらに見えた。
中には、家族らしき人物らが同伴している者もいる。
 駅にいる一般人は彼らを好奇な目で見ているが、彼らは気にしていないようだった。
 そんな中、エクルベイジュ色の髪の少年が一際好奇の視線を浴びていた。
少年目立っていたのはカートにフクロウの入った檻を乗せていたからであった。
 少年の名はアル・スレンデス。
今年ホグワーツ魔法魔術学校の七年生になる。
 アルはあの好機の視線が不服なのか、眉間に皺を寄せ不機嫌そうにしている。


「(何回も感じる視線だけど、やっぱり慣れないな)」



 アルがふぅ、とため息をつくと、カートに荷物と一緒に積まれたフクロウが同意するかのようにホー、と鳴いた。
そんな視線を無視して、アルはキングス・クロス駅の九番線と十番線の間にある壁に向かって歩き続けた。
カートと壁の間はもうぶつかるという所にまで来ているというのに、彼の歩みは止まるどころか、速度すら落としていないようだった。
 その時、誰かがまだアルに好機の視線を送っていたら「危ない!」と叫んだことだろう。
が、この時に限ってアルを見つめている者は誰一人としていなかった。
 アルはそのまま、九番線と十番線の間の壁に衝突する事なく、姿を消した。



***


「なに、これ。・・・どういうこと?」



 壁をくぐれば、そこは見慣れた紅色の機関車に、人で溢れかえっているプラットホームの光景が広がるはずだった。
アルも当たり前のようにそう思っていた。
 しかし、目の前に広かった光景は、数世紀前ぐらいの、タイムスリップをしてしまったと錯覚するような衣服を纏った人々が好恐怖と、恐好奇が混じった視線をアルに向けているところであった。
 アルは突然の出来事に自分だけ時間が止まっているような気になった。
それはアルのフクロウがバサバサと翼を動かしている音すら聞こえないほどだった。

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