Details of beauty (Story Book)

□[Another Story]Desire Side:Daisuke
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お前を、快感で壊してしまいたい……


そんな恐ろしい欲望が顔を出したのは
自分でも驚いた。



あの日の帰り道、他愛もない話をして
いつもの駅で降りたあいつから
どうしても目が離せなかった。


「まお、家に来ないか…?」


思わず、言ってしまいそうになった。



家について、乱暴に荷物を投げやり
ベッドに横になる。


「何しようとしてんだよ…俺は…」



頭の中では、嫌でも考えてしまう。


あいつの全てを、俺のものにしたいと。


キスをして、脱がせて、
俺を、感じて欲しい。

あの華奢な体を、快感で壊してしまいたい。



役ではなく、
俺を、感じて欲しいのだと。



「バカだな、俺は…」


誰もいない部屋で、静かに呟く。


「京介…好きだ…」



反響して、部屋に虚しく響く。



「好きだ…好きだ、好きだ…お前のことが…好きなんだよ…京介…」


一瞬、自分がおかしくなってしまったのではないかと思った。



せき止めていたものが、崩れだした。



理由は分かっている。


聞こえてしまったのだ。


帰り道、あいつの言葉が。



「……大ちゃん。僕は、大ちゃんがいいよ。 」



確かに、聞こえたのだ。


想いは一緒なんだと分かって高揚した瞬間に、思ったのだ。


とんでもないことをしてしまった、と。



あいつは、まだ若い。

今なら、普通の恋に戻れる。


でも、俺は……


俺は、近づき過ぎてしまったのかもしれない。



だけど、どうしても、離したくないんだ。


「愛してる…京介……」




いつか、"京介"の隣を歩く人が出てくるのだろうか。


それが、俺だったら
どんなに幸せなんだろうか。



もしそれが俺でないのなら、
俺は、どうしたら良いのだろう。


そんな思いを打ち消すために…



あいつを想像して、何度も名前を呼んだ。

何度も、愛を囁いた。


そうして、俺は、一人の世界へ堕ちて行った。


「愛してるよ…京介……」



明日からは、また、"まお"に戻るから。


いつか、ちゃんと"京介"と呼べる日が来たなら
その時は、お前を……


ギイじゃなく、大輔として抱きしめてもいいのだろうか。

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