Details of beauty (Story Book)

□Thoughts of Daisuke
1ページ/1ページ


弟のように、大好きなあいつ。


弟のようだから、大好きなあいつ。



それを越えてはいけないんだ。



越えてしまったら、彼は俺をどう思うのだろう。



きっと、あいつのことだから
あからさまに拒絶することはないと思う。


もしかしたら、雰囲気に飲まれて
俺を受け入れてくれるかもしれない。


でも、どうしても出来ないんだ。


今があまりに心地良いから、これを壊したく無くて…。



頑固なくせに、どこが脆くて。

簡単に壊れてしまうようなところがある。


自分を強くなったと思っているんだろうけど、
俺から見たら、やっぱりまだまだ
守ってやらなきゃと思う。



「卒業」を聞かされて
一瞬、顔が歪んだのは俺の気のせいだろうか。


彼は、動揺を隠そうとすると
下瞼がすこし上がる癖がある。


あの時は、何でその癖が出た…?


思い入れのある作品が終わるからなのか。


それとも、俺と……。



最後のラブシーン、タクミの奥にまおを見てしまった。


こんなんじゃ、役者失格だ。



出来上がった作品のDVDを貰って、
家に帰って一人で見ると
そこには、タクミのまおがいて
俺と体を重ねている。


「愛してるんだよ、ギイ」


ギイ…か。



思わず、自分の役に嫉妬してしまったんだ。



「俺にも……俺にもくれよ…その言葉…。」


そんな震えた声が部屋に小さく響いた。


「愛してる…まお……」


誰もいない部屋で、行き場を無くした小さな呟きが
自分のところに、虚しさを連れて帰ってきた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ