Details of beauty (Story Book)

□Thoughts of Mao
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この人が好きなんだ。



そう自覚してしまったのはいつだったのだろう。


気付けば、いつも隣に居るのが当たり前になっていたから
「卒業」という言葉を聞いた時に、思わず涙が零れそうになったんだ。 




最後の身体を重ねるシーンで、大ちゃんの手を握りしめた。


役として。
タクミとして…。


そう思い込んだけど、やっぱり僕自身が出てしまっていた。


大ちゃん、離れたくないよ…




大ちゃんはいつも大人だ。


「愛していますから」


にこりと綺麗に微笑んで
そんな言葉で、いつも僕等を冷やかす人達をサラリと交わしてく。


それを聞いて、いつも僕は笑ってみせるけど
その言葉が、本心だったらいいのに。


そう思ってしまうんだ。


笑ってみせた後、どうしても泣きそうになってしまう僕に
いつか、気付いてしまうんだろうか。


誰よりも人をよく見てる大ちゃんだから
きっと気付いてしまうんじゃないかな。


気付いてしまったら、いまのこの関係は終わってしまうのだろうか。


でも…でもね、大ちゃん。


気付かないで、って思ってるくせに
心のどこかで、気付いて欲しいって
そう思ってる僕がいるんだ。


「愛してる」


そんな言葉が、役としてじゃない
僕だけに向けられたのならいいのに。


僕は、この人が好きなんだ。

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