十二国記

□+劉王+
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今回もまた延麒から逃げてきた。
あれの用件など分かりきっている。
面倒事は御免だ。
だから会う必要もない。


そんなことよりも、世津の事が心配だった。
あの子が泣いてはいないだろうか?
瞑輝も延麒も居ることだから、大丈夫だとは思うが不安だった。


私の放浪癖は王になる以前からのものだ。
しかし、世津はきっと自分のせいだと責めていることだろう。
そんなことはない、といくら言い聞かせても、世津の気がかりを私では取り去ってやれない。
原因がこの私にあるからだった。



《主上…》



おっと、顔に出てしまっていたか。
世津の使令に心配するような目でこっちを見つめられている。



『私は大丈夫だ。それよりも世津の所に戻ったら根を詰めないように注意しといてくれ』

《御意》



いい子だ、と私は使令の鬣を撫でた。




次の旅は長くなってしまうだろう。
だが、瞑輝と鳫醒が居れば大丈夫だ。

私は自信を持って確信できる。
だって、もう120年もそれでやっていけているのだ。




私はあの国に居る必要はないだろう。
居ては、世津の不安を煽るだけだから…。






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