BOOK
□巴衛と神使の契約
1ページ/4ページ
毎晩のように魘される、俺を置いて何処に行ってしまったんだ。
肩を落としながら狭い部屋で呟く。
「ミカゲ…………」
会いたい。
20年間も俺に留守番させやがって…………!
「ね〜、ミカゲ、巴衛ちゃん可哀想じゃない?あんなに貴方に会いたがってるわ。」
社が見える木の上で乙比古が囁く。
巴衛を覗きながらミカゲも口を開いた。
「今巴衛に会ってしまったら、私も側を離れたくなくなります」
「…………それでいいじゃない」
「私では駄目なんです。奈々生さんを選んでいただかないと」
「巴衛ちゃんを見捨てるってことね?」
巴衛のほうに視線を向けると 涙を流しながら布団にくるまっている。
「あ〜ん、可哀想!慰めに行ってあげようかしら」
飛び付こうとしたところをミカゲに止められる
「見捨てた訳じゃありません」
「じゃあ行ってあげなさいよ」
「そうですね。ケジメをつけるしかない様ですね」
スッとミカゲは目を閉じ蝶の姿に化けた。