★猿比子×美咲

□素直になる薬
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「猿!さぁるぅ!!」

…俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
しかもこの声は…

「美咲ぃ!」

美咲が、美咲が…!
自分から俺に喋りかけてくるだなんて…!!

「猿、なあ、猿比子ぉ」

「なぁんだ?美咲ぃ」

……ん?
待てよ、何か違う気が…。
いつもの美咲と違う…。

いや、待てよ…。
シャンプーは…

「…ん」

「な、なんだよ、猿…?いきなり俺の髪の毛の匂いなんて嗅いで…」

いつもと同じだ。
かといってリンスも…同じだ。
髪の毛の長さも…1ミリ伸びただけか…。

「どうしたんだよ?今日の猿比子なんかおかしいぞ?」

「……。ま、いいか…。」

ぼそっと呟いて美咲に抱きつく。

「わっ、あ、そうだ。なあなあ猿比子ぉ」

「んー?何?美咲ぃ」

ああ、美咲可愛い美咲可愛い…。

「その…今日って何の日か知ってるよな…?」

「ん?何の日?……。」

なんだ?
誕生日?いや違う。

ふとカレンダーを見ると今日は2月14日…。

「あっ…。」

「わかったか?」

「バレンタイン…」

「おう!そうだ!」

そう言うと自分のカバンからごそごそと何かを取り出している

美咲をジーっと見つめる。

「可愛い…。」

ぼそっとそう言ったが美咲にはきっと聞こえてないだろう。

「あ、あったあった。猿!」

「ん?」

「はい!これ!」

グイッと無理矢理俺に何かを押し付ける様に渡してプイッとそっぽ向く美咲。

やっぱり可愛い。

「で、美咲ぃ?これは何?」

分かってる、雑く包装された箱の中身がチョコだってことぐらい。

ただ美咲が可愛すぎるから意地悪したくなるんだよぉ美咲ぃ

「ばっ!いちいち聞くんじゃねぇ!わかってんだろ…ッ」

…可愛い、なにこの生き物。可愛い。
美咲ぃ、可愛いよお!

「えー、教えてくれないとわかんないよお?」

「う、嘘付くなッ!」

まだ粘るか…。

「教えてくれないなら受け取らないよお?」

「なっ!……猿の意地悪…。」

「えー?」

「あー、分かったって…ッ!その、ちょ、チョコ…」

ぼそっとそう言ってまたそっぽ向く。

「美咲ぃ、もっと大声で言ってくれないと聞こえないよ?」

「この野郎ッ…!ちょ、チョコだよ!チョコ!悪いか!」

「へぇー…チョコねぇ、美咲の手作り?」

「いや買った。」

…そこは普通手作りだろう!みィ〜さァ〜きィ〜
ま、まあ良いとしよう…。

「そっかぁ、じゃあ食べていい?」

「い…いいぜ」

緊張してきたのか耳まで真っ赤にしてそわそわしている。

「……美咲」

「な、なんだ!?」

「あーんして」

「え、えぇ!?あーん!?」

「そうそ〜、早くー、みィ〜さァ〜きィ〜」

「わっ、分かったよ…う…」

「ちゃんとあ〜んって言ってくれよ〜?」

「注文多いなこのクソ猿…ッ!」

そう言ってチョコを一つ掴み俺の近くへ寄ってくる美咲、なんとも可愛い。

「あ、あ〜ん」

「ん…」

美咲のあ〜んと言う声とともにチョコが口の中に入ってくる。

正直チョコなんてどうでもいい。
美咲の美咲のあ〜んが美咲ぃいいい!!

「ど、どうだ…?」

「普通に美味しいよ、美咲があ〜んしてくれたからもっと」

そう言うともっと顔を赤くしてそれでも少し嬉しそうな顔をした。

「お、おう!良かったッ!」

「ん…美咲、手にチョコ付いてる」

さっきチョコを持った時に少し溶けたのだろう。
ほんと体温高いなぁ美咲ぃ

「あ、ほんとだ。」

そう言って自分の指を舐めようとしたがその手をガシッと掴み舐める。

「ふ、ふぇ!?さ、猿比子!?///」

「静かにして…」

「う、うん」

チュッチュッと美咲の指を舐めている音が部屋に響く。

「さ、猿比子…ッ!もう取れただろ…?///」

「いや、まだ。もう少し」

「そ、そっか…ッ!///」

ああ、楽しい。可愛い。
最高じゃないかバレンタイン。
これもう今年一番の喜びだ。

「んッあうぁ///猿ッひ、こぉ」

「ん…?なんだ?」

「ま、だッ?////」

「うん、まだ。」

坦々とした口調で答えていくが美咲はそろそろダメっぽい。

「ほんと美咲って、子供、だな」

「なっ、っせ、ッよ!///俺だってもう大人だからなッ…!」

「へー…じゃあ確かめてあげる美咲ぃ」

美咲の指を舐めるのを止め、キスをする。

「っん!///ふぁ、猿比子ぉ//」

「ほら、もっと口開けろ、美咲」

「ん…こ、こう…ッ?」

「そうそう。良く出来ました」

「こ、ども扱い…ッんな」

「じゃあ舌出して」

「え、う、うん…」

「そうそう。」

美咲の舌と自分の舌を絡ませる。

「ふぁあッひゃぅ…ッ!さる…、ひッこ」

必死に俺に何かを伝えようとしている。

「ん?」

「好き、だッ!お前のこと…!///」

「…美咲ぃ、俺も大好きだよ美咲ぃいい!」

ああ、今日はなんて幸せな日なのだろうか。
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