虹の旅路

□55,竜のジムと穴
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優志「んで、最後のジムは何タイプなんだ?」

「ドラゴンだよ、キングドラ辺が出ると思うからそれは絆に任せる」

絆『やった、ジム戦だあ!』

すっかりバトルが気に入ったらしい絆のボールを撫でてやる

道路を抜け、洞窟に入る
中は寒く、床に壁に天上に、至るところに氷が張っていた

ここは氷の抜け道

氷タイプのポケモン達が多く生息している

「寒いな」

煉暖『また僕が暖めようか?』

「ここのポケモン達に迷惑がかかるから気持ちだけで十分だよ煉暖」

煉暖のボールも撫でてありがとうと言っておいた

優志「気を付けろ、滑るぞ」

「う、うんありがとう」

優志が氷の向こう側から手を差し伸べてくれた
その手を取ろうとして、引っ込められた

何でだ、酷い

優志「ふ、引っ掛かったな」

「……子供か」

結局手を出してくるんだから判らない

優志「どうせなら転んでくれた方が面白いんだがな」

「嫌だよ」

優志「お前どんくさいから怪我されても困るし、本当転ぶな」

「どっちだよ」

意味が判らないよ

そんなこんなで洞窟を抜けて、たどり着いたフスベシティ
ここにはドラゴンタイプのジムリーダー、イブキがいるはずだ

竜の穴なんてところもあったっけ
あそこのBGM好きなんだよな

「さっさとジム行くか」

絆『行こ行こ♪』

絆が勝手に出てきてリボンの様な触手を腕に絡めて引っ張ってくる

「急ぐのはいいけど絆場所知らないだろ?」

絆『あ、そっか
じゃあ早く連れてってよー』


「はいはい」

バトルを好きになるのはいいけどここまで積極的になるとは
PCを通りすぎ、街の高いところへ
池の畔に立つジムを見上げる
池の先には、一ヶ所だけ綺麗な穴が開いていて、そこが竜の穴だと判った

「行くか」

ジムの扉を開く

中はシンプルなバトルフィールドのみ
ドラゴンらしい装飾こそあれど、床は純粋な力と力のぶつかり合いになりそうな綺麗なフィールドのみだ

「あら、挑戦者?」

丁度お昼時、イブキはお昼を食べ終えたところの様で、こちらに気付くと急いで食器を片付け始めた

「お邪魔しちゃいましたか」

「いいのいいの、今終わったところだから」

少しだけ待っていてと声を掛けられ、イブキが奥に消えて行くのを見届ける

改めてフィールドを見渡すと、ドラゴンの装飾はその大部分がカイリューだった
ジョウト地方のドラゴンタイプはキングドラ以外だとカントーにも存在するカイリュー位なものか
奥の扉から再び姿を現したイブキに、優木はその装飾を眺めることを止めた

「さっさと始めちゃいましょう」

「お願いします」

フィールドの立ち位置につき、バトルが始まる
イブキ戦は三体三のシングルバトル
ここ、ジョウト地方最後のジム戦に相応しい強い相手だろう

「シードラ!」

イブキが先ず出してきたのはシードラ
ドラゴンタイプではないことに少し拍子抜けしてしまうがそこはさほど重要ではない

「じゃあ雷鳴!」

雷鳴『うっしゃ!
やってやるぜ!』


飛び出した雷鳴がいつもと同じく首の裏の毛を逆立てて、今にも電撃を放ちそうな様子で着地する

「シードラ、冷凍ビーム!」

「電光石火でかわしてくれ!」

シードラが自分の足元から一直線に冷凍ビームを放つ
雷鳴は電光石火でそれをかわし、シードラはまだ雷鳴を追い掛け続ける

「ハイドロポンプ!」

更に激しい水流がフィールドを濡らす
そのハイドロポンプも、素早く動き回る雷鳴には当たらない
しかし、優木はそこで雷鳴が自由に動ける範囲が減っていっていることに漸く気が付いた

「雷鳴、放電!」

四方八方に電撃を放ち、フィールドの氷を少しでも破壊する

「シードラかわして!」

氷を利用して滑る様にかわすシードラ
しかし氷が張られている場所は限られている

「捉えろ雷鳴、十万ボルト!」

適当に放たれていた電撃を集束させ、シードラの移動先へ放つ

雷鳴『うぅらぁあ!』

見事シードラを捉え、効果抜群の電撃で吹き飛ばした

シードラは氷の上を滑る様に倒れたが、まだ戦闘不能にはならない
直ぐに起き上がり、こちらを睨む

「シグナルビーム!」

「アイアンテール!」

シードラの放ったシグナルビームを、雷鳴はアイアンテールで真っ二つに割いてダメージを防いだ
残った氷が弾けとんでいく
もう今のシードラと雷鳴を繋ぐ様に一直線にしか氷は残っていなかった

「ボルテッカー!」

雷鳴はその氷の上を、滑りながら勢いよく走った
そのまま強く電撃を纏い、シードラへぶつかる
効果抜群、シードラは戦闘不能

「……やるじゃない」

「どうも
ありがとう雷鳴」

雷鳴『お嬢に勝利を捧げるぜ』

戻ってくるなり手を差し出す雷鳴に苦笑い
誰が手を出すか

「じゃあ次、キングドラ!」

「来たか、絆!」

勝手に出てきたまま後ろに待機していた絆が元気よく飛び出していく

絆『絶対勝とうね!優木!』

「勿論!」

振り返って笑う絆に、こっちも笑いかけた


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