虹の旅路

□47,ミュウの力
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身体のあちらこちらにある火傷に、クリームを塗られる

ヒリヒリして痛い

現在PCで処置を受けているところ
火傷はそのままにしているととても痛いけれど、塗られて少ししたところから徐々に痛みが和らいでいく

最後に保湿の為に包帯を巻かれ、またいかにも怪我人にされてしまった

「終わりましたよ」

『ありがとうございます』

言葉は通じないけれど、意味は伝わる筈だから、お礼を言う
可愛がる様に頭を撫でられ、頬笑むジョーイさんに、気持ちいいけれど複雑な気分になった


何も言わずに飛び出してきてしまったから、仲間達が心配しているだろうか
部屋に戻る為の道を見て、優木は思った

こんな状態になってしまって、戻ったら戻ったで心配されそうだが、戻らない訳にはいかない

「そうそう、これあげるからあなたもちゃんと自分の手当てしなさい」

優志「……すまない」

右腕の火傷を見抜いて火傷治しを渡してくれた、流石だ


ジョーイさんと別れ、部屋へ戻る道を行く

軽く飛んでみる

さっきまで全く判らなかったことを思えば凄い進歩だが、まだまだぎこちない

優志「問題なく飛べる様になったか」

『そうみたい、もう戻れるかな?』

優志「恐らく戻れるが……まだやめておいた方がいい」

ゆっくり移動しながら会話する

一応回りに人がいないことは確認済みだ

優志の勿体振る様な反応に、優木は純粋に疑問を感じ、問い掛ける

『どうして?』

優志「ミュウの生命力が無ければもっと酷い火傷になってるぞ
……そもそも死んでるかもしれんが」


ミュウの姿であることに意味がある
人間の姿ではミュウの生命力の半分も発揮されないそうだ
しかしそれは擬人化中の優志にも言える筈のことで

『……優にいは平気そうじゃん』

優志「ワタシはミュウツーだからな
擦っただけだし」


袖を捲って見せた火傷は少しではあるが爛れていて、普通の人からしたら全然平気そうではない

『……酷いな……』

優志「お前の場合はこれではすまないかもしれないぞ?
あっちこっちあるしな」


『……そうだね……少し良くなるまでやめておくよ……』


話しが一段落すると直ぐに、部屋の前にたどり着いた

優志が扉を開けて中へ入ると、皆の話し声と美味しそうな匂いが広がる

そういえば、朝からまだ何も食べてなかった

優志「お出迎え無しか」

飛由「帰ってきたなら何か言えよ、おかえり」

『ただいま、飛由』

飛由「おう、飛べる様になったんだな」

照れ臭くて頬を掻く、その場で軽く一回転して見せると鼻で笑われた

飛由「おい、帰ってきたぞ」

飛由の声を聞いて、奥からパタパタと走ってくる緑色



翡翠「優木!おかえり!」

『ただいま』

抱き付いてきそうな勢いに苦笑いしながら返事をすると、心配そうに巻かれた包帯の端に触れられた

翡翠「これどうしたの?大丈夫?」

『ちょっとね、大丈夫だよ』

苦笑しつつ、触れてきた翡翠の手を両手で握った

飛由「そんなに特訓酷しかったのか?」

『ん?ああ……そ、そうなんだ』

飛由(嘘吐くの下手だなこいつ……)

目が泳いでるし

ここにいる全員が思ったけれど、必死で隠そうとする優木を見ていたらとても本人には言えなかった

漸く中に入って全員に迎えられると、当然の様に皆包帯に釘付けになる
優志が上手く誤魔化してくれた

優木のご飯はやっぱりポケモンフード

身体の大きさのこともあって数える程しか食べられない

砂塵「ポケモンになっても相変わらず少食だよな主」

『そうかな?』

雷鳴「身長はオイラがピカチュウだった頃と同じくらいだと思うんだけどお嬢は全然少ないよ」

両手で持って少しずつかじる様子を皆に見られていて、いろいろと恥ずかしかった




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