虹の旅路

□13,クチバジム
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新しく仲間になったイーブイ兄妹には兄にブイ、妹にイブという仮の名前が与えられた
理由は進化するか否かという問題である

「よろしく
ブイ、イブ」

全員ブイとイブを大歓迎して現在、PCの個室の中だ
シゲルとも既に別れ、彼は一先ずジムに挑戦する為にハナダシティに戻るそうだ

飛由『んで?明日はどうすんだ?』

「明日はクチバジム
電気タイプだから今回は砂塵に最後頼みたい
いいかな?」

砂塵『勿論、主の期待には応えるぜ』

ガッツポーズを取って気合い十分

「後一人、やりたい子いたら任せたいけど、どうする?」

『オレ出てもいいぜ』

名乗り出たのはブイだ
他の仲間も反対することはなかった

「じゃあブイで決まりだな」

『よし、オレの実力見せてやるよ』

『兄はなかなか強いですよ』

楽しそうな笑顔を浮かべたイーブイ兄妹、会ってから初めて見せたその笑顔が周りをも笑顔にした


「そろそろご飯にしようか」

翡翠『翡翠、お腹空いたー』

『オレもだ』

砂塵『主おれもー』

皆が口々にお腹空いたと言うのを聞いて苦笑い
直ぐにキッチンに向かった

『ていうかマスター料理出来るのかよ』

『何言ってるんですか
マスターなら出来るに決まってるでしょう』

飛由「そう言えば優木って意外といろんなこと出来るよな」

擬人化した飛由が指折り数え始める

「まあ…な」

お得意の困った笑顔で返事を返す優木に、翡翠が楽しそうな笑顔で言った

翡翠『優木はいいお嫁さんになれるねー
翡翠、貰ってあげてもいいよ?』


「なっ…!翡翠何言って…!」

飛由「おー、そうか花嫁修行済みってことか」

無駄に盛り上がる翡翠と飛由に真っ赤になって反論する優木

『いつもこのテンションなのか?こいつら』

砂塵『うーん…たまにこんなんかな』

ブイと砂塵が呆れた顔をしてることに気付く者はいなかった

『マスター可愛い』

イブの呟きも誰にも気付かれなかった

一騒動が収まったところでブイとイブの擬人化を可愛がって漸く食事を採る

「僕のこと別にマスターとか言わなくてもいいんだけど…」

慣れない呼ばれかたに少し照れるというか、恥ずかしい様な気がしてしまう

「マスターはマスターです」

「まあ、マスターだな」

変える気はないらしい

「まあいっか」

慣れるしかないな
最終的に割り切ると、優木は目の前に盛った料理の最後の一口を咀嚼した



翡翠『駄目ー!
優木と寝るのは翡翠っ!』


現在、お風呂も入り終わって寝ようとしているのだが
翡翠とイブによる寝床争奪戦が繰り広げられてます(汗)
何で僕の隣なんか取り合うんだ

『いいじゃないですか、私だってマスターと寝たいです
毎日とは言いませんから』

「二人とも…喧嘩しないでくれ」

飛由『モテモテだな優木』

砂塵『流石主』

『流石なのか?』

よく判らないことを言いながらも、男性陣はとっとと寝る場所を確保していた
少し揉めているこちらの様子をじっと見ている
男として何とも羨ましい状況なのだが、当の優木は本気で困った顔をしていた

『昨日までお兄ちゃんお兄ちゃんって可愛かったのにな…』

ブイだけは一人項垂れている
優木はそれをドンマイと心の中で合掌して喧嘩を宥めに入る

「三人で寝ればいいだろ?
だから喧嘩しないで」

翡翠『三人…はっ!
そっか3◯があったね
流石優木、じゃあ寝よっか』


『え?え?何ですか?3◯って…』

翡翠の言葉の意味が判ってない二人の疑問符が凄く哀れだと飛由は思ったそうな

「よく判らないけど喧嘩が止まったなら良かった」

飛由『いや、良くないからな』

メンバーの中でまともに対応出来るのは飛由一人だけだった
後の砂塵とブイは顔を真っ赤にしているだけでとても言えそうにない

『良くないんですか?』

飛由『良くないな、非常に』

そんな飛由も意味だけは教えようとも思わないようだった
それは純粋な二人に妙な知識が増えない様にとのことだったが、優木達はそんなこと等知る訳もない

「…えっと…どうすればいいんだろ…」

翡翠『冗談だから寝よう優木』

「…じゃあよく判んないけど寝るか
イブもおいで?」

布団に入って翡翠とイブが入れるスペースを確保して誘う

『はいっ』

翡翠『優木えっちぃなぁ』

意味の判らない翡翠の言葉は無視
イブが来た所で翡翠に向き直った

「ほら、来るなら早くしろ」

翡翠『…冷たいなぁ』

苦笑いしてから翡翠もとてとてとベッドに近付き、簡単に跳び上がって布団までやって来た

『暖かいです』

「イブ暖かいな」

翡翠『え?翡翠は?』

「ん?たまに暖か過ぎて心配になる」

三人で入るベッドはまた格別だなと思いながら翡翠の頭を撫でてやる
飛由が電気を消して、砂塵がベッドの足元の方に乗って丸くなる
ブイはまだ項垂れている様だったけど、各々が寝る体勢になった

何だかもっとこの温もりを感じたくなって、二匹に腕を回して少し強めに抱き寄せた

「お休み」

一言、そう呟けばやがて訪れる睡魔
瞳を閉じてその睡魔に身を委ねると、優木は直ぐに深い眠りに落ちた




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