スケッチブック

□21,肝試し翌日
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……辺りは明るい
すっかり朝になってしまったようだ

眠い、眠くて堪らない
二度寝していいかな……?

明け方までお説教を食らっていた私は、寝床からなかなか抜け出せずにいた
しっかし、先にさっさと寝てしまったレンはどうなったかな?もしかして今朝になってから叱られてたりして

……気になる

気になり出したら眠いのに寝付けなくなり、私は漸く寝床から抜け出した
のそのそと足取り重く部屋を出る

「おっ!おはよう!起きたか
昨日はいっぱい怒られちまったな
ただアバゴーラはおめー達のことを思って、心配して叱ってくれてるんだからな?
そこは受け止めてくれよな」

コノハナも昨日は叱られてる間一緒にアバゴーラのお説教を聞いていたはずだから眠いだろうに
私達がどうしてあんなにお説教されたのか、しっかり教えてやらねばといつもの時間から起きて待っていたようだ
コノハナにもたくさん心配かけてしまっただろうに

「うん、昨日は本当にごめんなさい」

「うん!良かった!」

判ってくれてるならいいんだ
コノハナはそう言って笑ってくれた

「ところでその後、記憶の方はどうだ?
なにか思い出したりしたか?」

「それが、さっぱり……」

消えた記憶はうんともすんとも言わない
大事な記憶ならもっと一生懸命思い出そうとして頭を抱えるようなことになりそうだけど、不思議とそういうこともない
そもそも学校に行ったり、調査団の仕事をしたりと、忙しすぎてあんまり考える余裕もなかった気がする

「そっか……
まあ焦る必要もないと思うが……
この世界にも慣れてきたと思うし、いろいろ調べてみるといいかもな
アバゴーラはあんな感じで何かと止めたがるが、オラは子供のうちはいろんな体験をした方がいいと思ってる
冒険は危険も付いて回るが、そこから学べることも多いと思うんだど」

前も思ったけど……コノハナって冒険に関しては結構許してくれるよね
他の大人達は皆冒険を止めたがるのに
ただ、心配してくれない訳じゃなくて
心配だけど、許してくれる感じ

こっちの世界には無さそうな言葉だけど、可愛い子には旅をさせよって言葉を、コノハナだけが地で言ってるというか

「なので、村のあちこちを冒険してみるといいと思うだど
勿論オーベム達には気を付けなきゃいけないが……
夏休みだし、いろいろ自由に行ってみるといいんでねえかな」

「そうだね、夏休みだもんね」

あれから忙しくも割りと平和に過ごしていて忘れてた、記憶のこと
すっかりこの姿も馴染んでしまって、オーベム達のことも忘れてレン達と冒険して

……これ、よくよく考えると結構危ないよね
万が一冒険中にオーベム達に見付かったらレン達と追っ掛けられる羽目になるし
今度は村までオーベム達が辿り着いてしまうかもしれない

でも閉じ籠ってる訳にもいかないのも事実か

「ほれ、そろそろレンが待ってるんでねえか?」

「あ、そうだね
行ってきます」

「行ってらっしゃいだど」

外に出ると、明け方まで聞いていた怒号がまた響き渡っていた

「コラッ!レン!もっとちゃんと拭かんか!」

「よし!終わり!!」

「どこが終わりじゃ!ほら!ここも!あそこも!拭き残しばかりじゃろうが!」

……どうも昨日の罰として拭き掃除をやらされてるみたい

「拭いたよ!終わり!
ぜえぜえぜえ……」

「ダメじゃ!雑過ぎる!掃除やり直し!!」

「ええーーーっ!?」

これはまだまだ解放されそうにないね……

ふと、アバゴーラの家の前に一枚の紙が落ちているのが目に入った

疑問に思って近くまで見に行く
なにか、文字が書いてあるみたいだ

「!レンの書き置きだ……!」

一体いつこんなものを用意したのかわからないけれど、私はその紙を読んでみる

メイへ

ごめん、今日は一緒に遊べなくなった
昨日の反省でずっと家の掃除をやらされることになったんだ……
なので今日は調査団見習いはお休みにしよう
本当付き合えなくてごめんね

レンより

あらら、大変そうだな……
まあ、私も寝不足だし下手にダンジョンには出ない方がいいかもしれない


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