スケッチブック

□19,いにしえの骨跡
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「ここよ」

そこは、普段誰も立ち入れない場所だった

「扉が、開いてる!」

いにしえの骨跡、という場所らしい
ヌメラもシキジカも驚きに声をあげた

「ここ、おじいや大人達から絶対に入っちゃダメって言われてる場所だよね!?
ここに、ヤンチャム達が……!?」

見るからにおぞましい入り口が、大きな口を開けて待っている
ここだけが生命を感じられない、異質ななにか
私も、大きな木のある丘から村を描いている時に一番気になった異物だ

「そう、この中に引き摺り込まれた
ワタシが見たのはここまでよ」

ニャスパーは相変わらず、なにも恐れるものなどない様な顔で淡々とそう言った
中がどうなっているのか、ヤンチャム達がどうなってしまうのか
誰でもが動揺するようなことが目の前で起きてるのに、だ

「うううっ……嫌すぎる……」

「本当どうしよう……」

ニャスパー以外、皆
恐怖に足がすくんでいるみたいだ
かく言う私も、少し怖い

「こんなのすごく嫌だし……今にも気絶しそうだよ……」

「レン……」

「でも……
行かなきゃ……!
勇気を振り絞らなきゃ……!」

普段あんなに弄られてても、ヤンチャム達を助ける
そうか、レンは

やっぱり、すごくいいやつなんだね

そんなレンに対して、ヌメラが不安そうに発言する

「でも、大人達は絶対入っちゃダメって……」

「言い付けは守りたいけど、今はそれより……
ヤンチャムとチョボマキを助けなくちゃ
嫌なところもあるけど、学校の仲間だし」

言い付けは守りたいって言うのは前科のせいでなんかちょっと嘘臭いけど、私もレンの言ったことに大賛成だ

「……よし
ワタシも一緒に行く
レン一匹で行かせない」

「私も行くよ」

「勿論、ワタシも行く!」

シキジカも私も、勿論ニャスパーも、言い付けよりも救助を優先する
危険かもしれないけど、覚悟は出来てる

「み、皆……ありがとう!」

「ヌメラは怖いようならここで待ってて」

「いや、ボクも行くよ
ていうかここに一匹で待ってる方が怖いし
やっぱりボクも助けたいし」

結局、皆一緒に行くことになった
皆あの二匹の為に、勇気を振り絞る選択をした



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