スケッチブック

□18,肝試し
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その日の夜……


私はそろそろ行動を起こそうとしていた
コノハナにバレないように、そーっと窓から頭を乗り出す

よっと……

真ん中に柵が一本あるだけの丸窓は、私の頭が難なくすり抜けられる
私が本当に子供かどうかはわからないけど(でもたぶん違う気がしてる)夜中に抜け出すなんて悪いこと、したくはなかったなぁ

表の方へ回る
扉は閉められて、入り口に立っていても大人に気付かれることはない

「メイ……」

名前を呼ばれて、不覚にも少し驚いた
アバゴーラの家側へ移動すると、そこに身体をぶるぶる震わせているレンを見付けた
怖いのに、頑張ってちゃんと出てきたみたい

「オレ、夜に出歩くのは平気だし、むしろワクワクするぐらいなんだけど……
お化けだけは、ダメなんだよね……
とりあえず、メイ先に行って
オレは後ろを着いていくから」

レンは小声でそう言った

「わかった」

私は短くそれだけ返事をして、いつも通り歩き出す
学校に行けばいいだけだから、迷う理由は何処にもないし

「あっ!待って……!出来るだけゆっくり……!ゆっくり行って……!」

慌てて距離を詰めるレンに、私は思わず苦笑いした

登校時にいつも通る道を通って、学校へ
校門には既に皆が揃って待っていた

「おっ!来たか!遅いぞ!」

ゆっくり歩いてきたから遅れた、とは言わないでおこう
ぴったり後ろにくっついているレン
尻尾は垂れ下がって、滅茶苦茶怖がってるのは誰が見ても明らかだ

「ん?メイの後ろにくっついているのはレンか?
相変わらずの腰抜けだな
ハハハハハッ!」

「うううっ……」

こればっかりはレンも反論する元気がない
ヤンチャムのこの性格は今に始まったことじゃないけれど、いい性格してるよね本当

「まあいい
これで全員揃ったな
じゃ、始めるぞ」

謎に皆でぞろぞろといつもの席に着く
一体なんの意味があるのだか、誰もわからない
ただこのまま、お化けが出てくるのを待つつもりか

「しかし出てこないなー、お化けのやつ」

まだ待ち始めて大して時間も経ってないのに、ヤンチャムがそう言った
まあこういうタイプは待つの苦手だろうけどもね

「仕方ない、こっちから呼んでみるか」

「ええっ!?やめ……」

レンとヌメラが恐怖に震えながら涙目になっている
しかしそれで止めるようなやつならここまで来ることもしてない

「おーい!お化けー!いるのかー!?
いるなら出てこーい!!」

私はホラー的な展開結構好きな方だけど、そんな典型的な呼び方で出ては来ないんじゃないかな……
案の定、辺りはしーーんと静まり返ってる

「もう……止めて……」

「おーい!お化けー!
お前の母ちゃんデベ……」

「ぎゃーーーーー!!」

急にレンが叫んで、床に突っ伏して動かなくなった
怖すぎてまた気を失っちゃったみたい

「……どうした?」

「……気を失っちゃった」

隣にいた私がヤンチャムに教えた
ちゃんと呼吸も聞こえるし、特に問題はないはず

「なんだよ?まだなにも起きてないぞ?」

「きっと恐怖に耐えられなくなったんだと思う」

ニャスパー達が話すのを尻目に、私はレンの身体を擦ってあげていた

「早すぎだろ?倒れるの
ったく、本当臆病なんだな」

そんな時だった


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