スケッチブック

□17,子供会議
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あっという間に解散したその日は家で割りとのんびり過ごした
コノハナと珍しくたくさんお話してみたり、おだやか村の風景を描いたり

そんな、大したことのない日常を過ごした翌日

「メイ、おはようだど」

「おはようコノハナ」

何だかんだすっかり親代わりをしてくれているコノハナに、私は笑顔で挨拶を返す
コノハナもいつも笑顔で挨拶をしてくれるから、匿ってもらっていることを忘れてしまいそうだ

「昨日のことだけんども
カモネギ先生、見付かって良かっただ
ただ、オーベム達のこともある
警戒は怠らずに、もしなんかあったらすぐおらに言うだど」

「うん、いつもありがとう」

またオーベム達が襲ってくるかもしれない、コノハナは窓を見詰めてそう言った
その顔は少し険しく、本当に私のことを心配している父親の様な顔だった

「気を付けるね
じゃあ、私今日もレンと遊んでくるから」

「気を付けて行ってくるだど」

「はーい、行ってきます」

コノハナに見送られながら、私は家を出た
すぐそこから、丁度レンも出てくるのが見える

「おはよー!メイ!」

「おはよー、レン」

私はのんびりした声でレンの挨拶に返事をする
あの様子だと、案外昨日は普通に眠れたみたいだね

「おーい!」

私達が挨拶を済ませたタイミングで、少し遠くから私達を呼ぶ声が聞こえた
見知った声だけど、私達が呼ばれるのは予想外の相手の声

「あれ?チョボマキ」

走りにくそうな殻に覆われた身体で、橋を渡って私達の目の前まで一気にやってくる
慌ててるのかな?

「どうしたの?」

「ヤンチャムが、話があるんだってさ
はあはあ……」

使いっぱしりかな
それにしても、チョボマキからヤンチャムの名前が出るのは全然わかるけれど、話があるとは一体……
レンも困惑気味の顔を私に向けた

「今皆に声をかけてるんだ
次はシキジカちゃん達のところだな
ああ、めんどくせえ」

どうやら子供達全員を集めてなにか話すつもりみたいだね
チョボマキはその使いっぱしり……と、お疲れ

「でも……シキジカちゃんとお話出来るきっかけが出来たのは嬉しいかも……ぽ……っ」

……前言撤回していい?
どうせシキジカはチョボマキのことどうとも思ってないよ、残念でした
に変更で

「集合は大きな木のある丘だからな
絶対来いよな、じゃあ!」

チョボマキはまた走って行ってしまった


「ヤンチャムの話ってなんだろうね?
なーんか、嫌な予感がするんだけど……」

「まあ、聞くだけならいいんじゃない?
なーんか、変なことやろうって言いそうな気はしてるけど」

私達はちょっと面倒に思いつつも、大きな木のある丘へと向かった

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