スケッチブック

□16,行方不明の先生
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「ふぁあ……」

今日も、私は目を覚ますと、いつもの様に家を出る

「メイ!おはよー!」

「おはよーレン」

もう挨拶もいつも通りだ
タイミングもいつもぴったり

「今日もお仕事やるぞー!」

「気合い入ってるねー
私何て昨日酷い目にあったせいでちょっと疲れが抜けてないよー」

「ええっ、そうなの?
ちゃんと寝なきゃダメだよメイ
絵ばっか描いてないでさ」

「毎日描いてる訳じゃないよー?
昨日描いてないし」

レンはちょっと偏見が過ぎるね
私だって疲れてたら寝るよ
でも取れない時だってあるんだよ

「うーん、そっか」

「言っておくけど依頼はやれるよ、大丈夫だからね」

「そっかぁ
また休みたかったら言ってね
オレも一回休んだし」

広場に向かいながら話していると、広場に差し掛かる橋の手前辺で私達は足を止めることになった

「あっ!メイ!」

シキジカが私を見るなり走って来たからだ
直ぐ側にはヌメラもいた

「シキジカ、ヌメラ
おはよー」

少し慌てている様子のシキジカ達に、私は呑気に挨拶した

「どこ行くの?」

横からレンが質問すると、シキジカがそれに答え始めた

「学校よ」

「何か騒ぎになってるみたいなんだ」

続けてヌメラが言う
私達は騒ぎという言葉にただ疑問しか感じない

「騒ぎって?」

「ワタシ達もよく判らないから今から確かめに行くところなの
レン達も一緒に来る?」

シキジカの誘いを断る理由もなく、学校の騒ぎも気になるので、私達は二つ返事でシキジカ達と一緒にいくことにした


学校では、普段滅多に村に顔を出すことはないポケモンがいた
そのポケモンは、ジバコイルとコイル
今はタブンネから話を聞いて状況を分析している様だった

「……ナルホド
職員室カラ出タ時ハ既二イナカッタト……
他二変ワッタトコロハ……?」

「いえ……特にありません……」

タブンネの後ろに控える様に、村のポケモン達数匹が集まっていた

「わっ!なんか集まってるよ!?」

学校に到着した私達は、話を聞いていたであろうハスブレロの元に走った

「ねえ、なんかあったの?」

ハスブレロは直ぐに私達の方に振り返って、親切に教えてくれる

「カモネギが行方不明らしいんだ」

「ええっ!?カモネギ先生が!?」

私達は驚いてすっとんきょうな声をあげた

「あっ!皆!」

タブンネ先生が私達に気が付いて、声を掛けてくる
お陰でそこにいるポケモン達皆が私達に注目することになった

「タブンネ先生!
カモネギ先生がいなくなったって聞いたんだけど本当?」

早速ハスブレロの話が真実なのかレンが質問し始める
タブンネは困惑を隠さずに話し出す

「本当よ……
昨日の夜見回りしてたらいつの間にかいなくなって……」

「今ソノ行方ヲ調ベテイルノデス
君達ハ昨日ノ夜ナニカ見マセンデシタカ?
……ッテ思ッタケド……
ヨク考エタラ君達ハ子供ダカラ夜ハ出歩カナイカ……」

ジバコイルは少し困った様にそう言った
目撃情報的なものを求めているみたいだけど、私達が見ている筈がないし見てたら見てたでちょっと問題だよね

「ジバコイル保安官ーッ!!」

慌てて大きな声を出しながら校門から入ってきたのはコイルが三匹仲良しこよしの……もとい、レアコイル

「オオッ!聞キ込ミオ疲レ様デス!
ナニカ判リマシタカ?」

「ハイ!ハアハア……!」

息を切らせながら、レアコイルは話し出す
あれ、何処で呼吸してるんだろう
そもそも空気いるんだね

「昨夜カモネギヲ見タトノ情報ガアリマシタ!」

一気に空気が張り詰めていく

「ど、何処で見たのですか!?」

「Y字路ノ辺デス
聞クトコロニヨルトカモネギハ……
倒レナガラ地面ヲ滑ル様二移動シテイタヨウデス」

え、なにそれ恐い

「丸デ見エナイ力二引ッ張ラレル様二……
ソウイエバカモネギノ側ニハ青白イ炎ノ様ナモノモ見エテイタソウデス」

「あ、青白い……炎……!?」

どうやら随分ホラーチックなことになってるみたい

「お、おば……おば……!?」

案の定その手の話しが苦手なレンが取り乱し始めたその時

「皆サン落チ着イテ!」

ざわめくポケモン達をジバコイル保安官の一声が静かにさせる

「ココデ騒ぎを大キクシテモヨクナイト思イマセンカ!?
トイウワケデ妙ナ想像ハヤメテココハ皆サン家二帰リマショウ!
デハ解散シテクダサイ!」

ポケモン達は取り敢えず静かに学校を出ていった
私達子供と、学校関係者のみが残る

「カモネギサンハ全力デ調査シマス!
デスノデゴ安心ヲ!
ヨシ!聞キ込ミ調査ヲ続ケマショウ!」

「ハイデス!」

「オッケーヨ!ビビビ……!」

ジバコイル達はそう言って学校を去っていった
なんだかいろいろ心配ではあるが、私達に出来ることはない

学校を後にして今日も依頼に行くことにした



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