スケッチブック

□15,夜の学校の噂
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オーブを開くと、呟いているポケモンの数は5匹もいた
繋がりが増えてきたからか、はたまた夏休みに入ったのを知っているのか
今日から依頼で忙しくなりそうだなあ
まあ、退屈よりは全然いいけど

「わあ、随分沢山依頼があるね
どれから行こう?」

「うーん、とりあえず楽そうなのからどうかな?
この、ロトムの依頼とか」

ロトムの依頼を見ると、レンはうーんと唸る

「いいんだけど、他のポケモンの方が困ってそうだよ?
それにこれ、何階か判らないし」

「本当だ、修行の洞窟としか判らないね」

他の依頼を一通り紹介しよう

先ず、ソーナンス
あたらし山脈の3階、救助待ち

次にヨーテリー
ニョロボンリバー地下9階、カギ扉

三つ目にパチリス
あたらし山脈2階、救助待ち
ソーナンスと場所は同じ、階違い

最後にラルトス
ストンフィールド2階、探し物

「救助の依頼はそんなに階層が深くなくて楽そうだよ」

「うーん、じゃあパチリスとソーナンス?」

「そこが妥当かなあ
一回で二匹助けれるし」

そんな訳であたらし山脈へ向かうことになった

よくいる敵ポケモンはダンバルやドジョッチ、ヤジロンなんかだ

「いったあ!」

レンがダンバルに突進されて痛がってる

「ああまたか」

突進の反動でダンバルが倒れて私達に経験値が入らない
もう何回目か判らないよ

「勝手に倒れられるって空しいんだけど」

「うーん、眠らせちゃった方がいいのかな」

「何とかなるならそうした方がよろしいと思います」

同行しているニンフィアにもそう言われて、私はそっかあと曖昧な返事を返した

正直ダンバルの突進、かなり痛いし食らわなくて済むならそうしよう
結論を出して私達はまた歩き出す

先に救助出来るのはパチリス
今いるところの次にいる筈

「それにしてもお二人ともまだ子供なのにお強いですわね」

「そ、そうかなー?」

レンが照れ臭そうにニンフィアに答える

「あっちこっち冒険してるからねー
回りの反対を押し切って」

「ちょ……印象が悪くなることを言わないでよメイ」

私達のやり取りにニンフィアが笑って、つられる様に私達も笑う

パチリスはもうすぐそこだ


階段を下りると、またダンジョンの空間が広がる
毎回違う形になるというダンジョンは、一体どういうタイミングで切り替わっているのか誰も知らないし判らない
まさに不思議のダンジョンだ

「あ、あれじゃない?」

レンが差した先に、白い身体の青縞模様が特徴的なポケモンがいた
パチリスで間違いなかった

「助けに来ましたよ」

「もう大丈夫だよ」

「あ、ありがとう!パチパチ」

救助用のバッジを翳してパチリスを先に帰させる
先ずは一つ、依頼達成だ

「さあ、後一つだね」

再び歩き始める
ソーナンスはこの次の階だ

「あっという間だねー」

次の階段が見えてくると、私は呑気に口を開いた

そこに、再びダンバルが現れる

「出たな、突進野郎」

「変なあだ名つけないであげて」

レンに言われながらも、私は取っておいた秘策を使う

種から細かい粉を噴出し、ダンバルがコテンっと地面に落ちた

「秘技、眠り粉」

「うわ、メイ酷い
突進しか出来ない上に反動で倒れちゃうか弱いポケモンを眠らせてボコボコにするなんて」

「食らわずに済むならそうしろって言ったのレンだよ」

「オレそんなこと言ってないよ!?」

「あれ、そうだっけ」

ザ、適当

結局全員でボコボコにしてダンバルを倒すと、直ぐそこにあった階段で先に進んだ

「ソォオーナンス!」

その階で困った顔のソーナンスを救助し、私達は漸くダンジョンを後にする

今日の依頼はこれで終わりだ

それにしてもソーナンス、ソーナンスとしか言わなかったけどそれしか言えないのかな?

レン達と別れて家に帰る
いつもの様にコノハナが出迎えてくれて、ご飯の準備をする

今はこれが日常


そしてまた朝がやって来る

「今日も気を付けて行ってくるんだど」

「はーい、行ってきまーす」

コノハナに見送られて、私は家を出る
今日もレンと一緒に依頼をこなす約束をしてる

今日から夏休みだから学校には行かない


「メイ、おっはよー!」

「おはよー」

家を出るなり直ぐにレンが駆け寄ってきた
家を出るタイミングが殆ど一緒って普通おかしいよね?いつも見計らってるのかな?

「今日も頑張ろう!」

「取り敢えず依頼どれ行くか決めちゃわないとねー」

「広場で決めよう!」

私達は連れ立って広場へ向かっていく
その時のレンの顔は随分楽しそうで、隣にいて私まで何だか笑顔になっちゃう

「あ」

「おっ!」

丁度広場に差し掛かったところでヤンチャムとチョボマキに遭遇

「ヤンチャム!チョボマキ!」

レンは嬉しそうに二匹の名前を呼んで走り寄っていく

「来るな!暑苦しい!」

「まあまあ、そう言わずに」

めげずにレンが笑う
拒絶されても相手に近寄っていくレンは凄いと思う

「二匹共夏休み楽しんでる?」

「そりゃまあ、バッチリよ!」

「やっぱりいいよな!夏休み!」

拒絶されたと思いきや何だかんだ楽しそうに話し出すんだからまた判らない

「だよねー
夏休みは幾つになっても嬉しいよー」

「メイ何歳だよ(汗)」

私が何気なく言った一言をレンに突っ込まれ、ヤンチャムとチョボマキが笑う

いや、でも本当に何歳だろうね
記憶ないから判んないんだよね
誕生日も

「ところでよぉ……
レン達は夜の学校の噂は聞いたのか?」

「夜の学校の噂……?」

なにそれ、ホラーな匂いがする

「メイ知ってる?」

「ううん、初耳
どんな噂なの?」

レンはともかく、私はホラー的なのを期待して聞いた

「なんでも夜の学校にお化けが出るらしいんだ……」

「ええーっ!?
お、お化けーーーーっ!?」

あ、もしかしてレンこういう系苦手なのかな?
意外な弱点
可愛いかも

「ああ
どっから出たのか知らないけどなんかそんな噂が飛び交っているんだ
教室のどっかから『あついよぉ〜』って声が聞こえて、振り返ると青白い……炎が……」

「わっ!!」

「ぎゃーーーーーっ!!」

効果は抜群だ!!
正しくそんな技を食らった様にレンはその場に倒れた
逃げるでもなくその場に倒れちゃうんだ!?

「レン!」

私は急いで起こそうと身体を揺すった



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