スケッチブック

□10,デンリュウ
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「いらっしゃーい!」

「あの……今日は買い物じゃなくて
これ見てほしいんだけど……」

カクレオンに、デンリュウの落とし物を見せた

「や……!これは……!
繋がりオーブですね!」

「繋がりオーブ?」

「はい
ポケモン達は皆、繋がりを持っています
知り合いだったり、友達だったり……
そんなポケモン同士が繋がっている線(ライン)を……この繋がりオーブは映し出してくれるのです」

「ええっ!?ポケモン達の関係が判っちゃうの!?」

「そうなんですよ
これってもしかして今朝の……?」

不思議な道具をこちらに差し出し、カクレオンは聞いた

「うん、デンリュウっていうポケモンが落としていったんだ
届けてあげたいんだけど、何処にいるか判らなくて……
カクレオンなら何か知ってるかと思って、それで来たんだ」

「今朝のものはやっぱりそうでしたか〜
なんかそんな感じはしたんですが……
でも……残念ながらワタシにも判りませんね〜
繋がりオーブを持っているというと、ワタシ達の様に商売しているものか或いはワイワイタウンの調査団だと思いますが……」

レンが、調査団という言葉に思いっきり反応する
そういえば、レンは調査団に入りたいんだっけ

「なあ!デンリュウってポケモンなら……
ちょっと前に村の出口ですれ違ったぜ?」

話しを聞いていたらしいラッタから有力な情報が出てきた

「本当!?ありがとう!
メイ!行こう!」

「うん」

デンリュウが何者なのか、レンはきっと確かめるつもりだろう
調査団だといいね
私は心の中でそっと呟いた



「あっ!おじい!」

村の外に続く道を歩いていると、向かいからレンの育ての親であるアバゴーラがやって来た

「おっ、レンか」

アバゴーラはこちらに気が付くと、近くまで来て足を止めた

「何やっとるんじゃ?
こんなところで」

「ポケモンを探しているんだ
黄色くてふらふら歩くポケモンを見なかった?」

「黄色くてふらふら歩く……?」

事情を説明すると、アバゴーラは暫く考え込む素振りをしてから、頭の片隅に思い当たる節を見付けたらしい

「そういえばオレン畑からの帰り道にすれ違って……
あれは……そうじゃ
確かニョロボンリバーに行ったような……」

「そっか!ありがとう!おじい!」

レンがお礼を言うと、アバゴーラは急に慌てだした

「まさかお前達ニョロボンリバーに行くつもりじゃ……!」

ニコニコ顔のままのレンを見て、アバゴーラの推測が確信に変わる

「ダメじゃ!危険じゃ!
あそこはニョロボン三兄弟という狂暴なポケモン達の住み処なんじゃ!
子供の行くところではない!」

怒りだしたアバゴーラを見て、レンはやっとニコニコ顔を崩した

「わ、判ったよおじい」

アバゴーラはその様子に満足したのか、村の方へ歩きだす
少し歩いてからやはり心配なのか、振り返って

「いいか!絶対ダメじゃぞ!!
絶対に絶対にぜーったいに、ダメじゃからなっ!」

思い切り念押しされて、私はレンの隣で苦笑い

「判ってるよ……」

レンはふて腐れた様な顔でそう返事した
アバゴーラは漸くまた歩きだし、姿が見えなくなっていく
もう振り返ることはなかった


「おじいはああ言ってたけど行こう、ニョロボンリバーへ」

ああ、やっぱり行くんだ

なんとなくそう思った後、レン炎タイプだからちょっと大変そうかな
次いでそう思ったところで、レンが不思議そうな顔をしてこちらを見ていることに気付いた

「メイー?」

「ああ、ごめん
考え事してた」

へらっと笑えば、レンは楽しそうに笑って返してくれる

「何考えてたの?」

「相性ー?」

あははーと笑いながら言えば、そっかあ
とだけレンは言った

軽く荷物を整えて、私達はニョロボンリバーに向かうことにした



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