スケッチブック

□9,和解
1ページ/2ページ


そしてまた、朝がやって来る



「ふう〜、大分迷いましたね
方向音痴なのも困り者ですね
全く本当に
でも……
あそこが穏やか村に違いないでしょう
やっと着いた様ですね、やれやれ
さてと
何が出てくるのやら
恐ろしいですね
まっ、行ってみますか」

一匹のポケモンが、穏やか村にやって来ていた



そんなこと等露知らず、メイは何時もの部屋で目を覚ます
首にスカーフを巻いたままで眠っていたメイは、まだ眠たそうに大きな欠伸を一つした
誰も見ていないからと言って、女の子らしさの欠片もない

部屋を出ると、コノハナも既に起きていて、元気そうな挨拶をする

「おはよう!メイ!
昨日の夜もちょっと思ったんだが……
そのスカーフどうしたんだ?
なかなか似合うし、いい感じでねえか!
オラも欲しいだど!」

「あはは、ありがとうコノハナ
おはよ!」

今日も学校だ
そろそろレンが迎えに来るかもしれない

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃいだどー」

コノハナに見送られて家を出ると、丁度レンがアバゴーラの家から出てくるところだった

「あ、メイ!おっはよーーーー!!」

物凄く元気な声で挨拶してきたレンに私も笑顔で挨拶を返す

「おはよっ!」

「丁度良かった!
一緒に行こ!」

「うん!」

広場まで行くと、見知らぬポケモンがあっちこっち歩き回り、ぶつかりまくっていた

「何あれ……?」

とりあえず近くに行って声を掛けてみる

「だ、大丈夫?」

「だ、大丈夫
いつものことです
ご心配なく」

いつもぶつかってるのか……

「ワタシ物凄い方向音痴でして……
初めて来た土地は特に……
というわけであちこちにぶつかりながらフラフラ歩いてたんです
やれやれ」

流石に他のポケモン達にぶつかるのは良くないと思うなあ

心の中でそんなことを思うが、それよりも疑問なのは何故一匹でその初めて来る様なところに来たんだろうか

「君達は村の子供達ですか?」

「うん
オレはレン」

「私はメイだよ」

軽く自己紹介すると、フレンドリーに笑いながら頭を撫でてくる

「そうですか
可愛いですねえ〜
おっと、自己紹介が遅れました
ワタシはデンリュウ!
人呼んで……流離いのスタイリッシュ旅ポケモン!」

決めポーズまで取っていろいろと突っ込み所満載だなあ

「以後お見知り置きを!
では!」

デンリュウはそう言ってまたフラフラとぶつかりながら村の外に行ってしまった

その際、カクレオンのお店にもぶつかって何かを落とした

「あれ?なんか落とした?」

近付いてみると、見たことのない道具が落ちていた

「なんだろう……これは……」

「水晶玉みたいだね……」

「あれ?デンリュウがいない」

「え!?」

今更いなくなったことに気が付く、落とし物をしたまま何処かへ行ってしまった様だ

「どうしよう?
届けてあげたいけど学校に行かなきゃいけないし」

「とりあえずは学校が終わってから……
放課後になったらデンリュウを探そうかそれまでこの玉はオレが預かっておくよ」

他のポケモンに、デンリュウを見掛けたらレンが落とし物を持っていることを伝えてほしいことを伝え、私達は学校に行った


「ね……ねえメイ
今気が付いたんだけど……
よく考えたら昨日オレ達途中で学校を抜けちゃったよね
行ったら先生や皆からいろいろ言われそうだし……
なんか急に行く気が……」

「あー……」

そういえば、そうだった

私も怒られるのは好きじゃない
というか好きな人なんていないし

「そうだ!ねえメイ!
この際今日も学校行かないっていうのは!?」

「……それ、却下デース」

そのままずるずる何日も行かなくなるパターンだし

「……ダメだよね
やっぱり」

「……堂々と怒られに行こう?
怖いのは私も同じだし」

「そうだよね
行かないのは良くないもんね……
行くかぁ……
でも気が重いなあ……」

広場を抜け、校門の手前

「おはよう!教頭先生!」

「ああ、おはよう!」

「おはようございまーす!」

「おはよう!元気いいねえ!」

子供達の元気な声が響く中、そろそろチャイムが鳴る時間が迫っていた

「さてと
皆揃った様ですね
例の問題児達以外は」

メイとレンはまだだった

「何せあのメイとレンの二匹と来たら……
昨日授業中に抜け出しましたからね!
ああ腹立たしい!
なのでこうしてお説教してやろうと待ち構えてるのですが……
なかなか来ないですねぇ
プンプン」

完全にお怒りモードの教頭

「はっ!まさか!
もしかしてワタークシに怒られるのが嫌で学校に来ないつもりじゃ……!
なぁーんて腹立たしい!
腹立たしいったら腹立たしい!プンプン!」

実は校門近くの岩に隠れてその様子を見ているのだが、よりによって教頭先生だから、なかなか出ていく勇気が出ないのだ

「うう……」

「やっぱりプンプンに怒ってるよ……
オレ達が来るのを手ぐすね引いて待っている感じだよね、あれ
早くどっかに行ってくれないかなぁ……」

「そろそろ始まりのチャイムが……」

このままでは遅刻してしまう
焦りと、教頭に怒られたくない恐怖心が戦うも、恐怖心は簡単には負けてくれない

「メイ、どうしよう……」

「どうしようって言われても……」

私もおんなじ状態だし……

「はあ……こうなったらもう、腹をくくるしか……」

「素直に怒られに行く……か……
うん……そうだよね……
スボミーを早く助けに行きたかったとはいえ……
学校を抜け出したことには変わりないもんね」

教頭先生に怒られるというのが何だか面倒ですらあるが、仕方ない

「ここは素直に行こうか」


ツーツツツ……!

「!」

テレパシー……?

思わず足を止める

《メイ!レン!聞こえる……?》

「ニャスパー……?」

《レン達隠れてるの?
ちょっと待ってて》

一体、何をするつもりなのか
ニャスパーに言われた様に、隠れたまま待機することにした



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ