restart travel

□15,ジム戦と相棒
1ページ/2ページ



その翌日、キキョウシティにたどり着いた俺達は、マダツボミの塔で軽く修行した後(バトルより階段がきつかった)、ジムへ訪れていた

ジムリーダーはハヤトと言うらしい
飛行タイプのジムだ

「使用ポケモンは三体だ」

「よろしくお願いします!」

お互い最初の一匹を出す
俺はアースから
ハヤトさんはヨルノズクだ

「アース、毒針!」

手始めに毒針を放つ
ヨルノズクに向かって無数の針が飛んでいく

「かわせヨルノズク」

ヨルノズクは当たり前の様に翼をはためかせ、上空へと逃れた

「エアスラッシュ!」

そのまま空中から風の刃を放つヨルノズク
正直優木の飛由より厄介だ、ヨルノズクは特殊技豊富、しかもエスパータイプの技も覚えるポケモン
優木に通用した手はこいつには通用しない

「穴を掘る!」

一先ずアースが地中へと身を隠す
エアスラッシュは外れるが、ヨルノズクは慌てる様子もない

「残念だけど、僕のヨルノズクにアーボは凄く相性悪いよ」

ハヤトさんも慌てた様子もなく、俺を見据える
ヨルノズクの目が光り輝き、地中を見ていく
見えているんだ、アースが何処にいるのかが

内心、冷や汗が伝った

「出てきたところにサイケ光線だ」

どうする?
どうしたらいい?

必死に考える
地中にいるアースは今も俺の指示を待ってくれている筈
こんなとき、優木ならどうする

いや、サイケ光線ならまだ簡単じゃないか
焦る必要なんてない
アースは毒タイプだけど悪タイプの技も使えるんだ

「アース、悪の波動!」

アースがその指示と同時に地面から飛び出す
待ち構えていたヨルノズクがサイケ光線を放つが、アースも悪の波動を放って爆発が起こった

「くっ……!」

突然の爆発にハヤトさんが顔を腕で覆う

今だ!

「毒毒の牙!」

アースが素早く飛び上がり、ヨルノズクに噛み付く
もしここで毒を引ければ地面に潜っても相手を焦らせることが出来る

「くっ……!ヨルノズク負けるな……!
サイコキネシスだ……!」

「もう一度潜れ!」

捕まる前に再び地面に逃げる
ヨルノズクは毒になってはいなかった

しかし俺も、今回はサイコキネシスを避ける為に地面に潜らせただけだ、地面に長居させるつもりはない

「アース!」

俺自身、アースが何処にいるのか判らないが、まだヨルノズクはアースを見付けられていない筈
呼び掛けた俺の声に反応して、ヨルノズクの真下からアースが一気に飛び出した

「下だヨルノズク!」

「遅い!ポイズンテール!」

こちらを向いたヨルノズクにアースの尻尾が綺麗に命中した

地上へ降り立ったアースが、俺に背を向けたまま視線だけ寄越して来る

その顔は何だか嬉しそうに、不敵に笑っていて
バトルの高揚と相まって俺もグッと拳を胸の前で握った
その瞬間だった
アースの身体が光輝きだしたのは

「あ……」

呆然とそれを見詰める俺

「これは、進化の光……!?」

最早戦闘不能目前のヨルノズクと、ハヤトさん

俺は思いを馳せていた
アースは、俺の初めてのポケモンだった
相棒だった
そのポケモンが、俺とのバトルを繰り返し、今進化しようとしている

何だこの感慨深さは

今までいろんなことがあった
良くない時期もあった
それを乗り越えて、アースはアーボックになる

光りが収まり、小さかったアーボが大きく成長した姿が、目の前に現れた

『しゃーぼっく!』

前よりも大きくとぐろを巻いて、大きな模様が一つの顔の様に見えるポケモン

「アース……」

アースは、俺に向いて顔を寄せて来た

何かと思えば、俺の頬に自分の頬を擦り寄せて、甘える様な声で鳴いた

アースもずっと、進化したかったのかもしれない
相棒なのに、自分だけ進化出来ていないことが負い目に感じていたかもしれない

そっともう片方の頬を撫でて、アースの甘える様な声に応えた



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ