スケッチブック

□11,調査団見習い
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私達が漸く奥にたどり着くと、ニンフィアが困った顔で壁を見詰めていた

「困りました……
どっちが出口なんでしょう……」

「君がニンフィアだよね?
助けに来たんだけど」

躊躇うことなく話し掛ければ、少し驚いた様子を見せた後、ぱちくりと瞬きを繰り返す

「え?わたしを……?」

「うん、そうだよ」

レンがちゃんと答えれば、ニンフィアは状況を理解して顔を輝かせた
可愛い顔が一層引き立って、そこらの雄ならイチコロで悩殺されそうだ

「助かりました……!
わたし道に迷いやすい様で、今回もつい……
ここは何処!?何処ですの!?
ってなってしまいましたの」

若干お嬢様口調で、リボンを顔の前で合わせた

「本当にありがとうございました」

何故か私に軽くすり寄って甘えてくる
猫が餌を強請る時の様だ
それ、雄にやったら勘違いされるよね
だからレンじゃなくて私なのかな

繋りオーブが光出す

何事かと思って取り出すと、私達とニンフィアが表示されていた

白い線で繋がれている

そこから更に、ニンフィアと繋がっているポケモンが新しく表示される様になった

こうやって、調査を進めていくのか……

私達はダンジョンから脱出、村へと戻った


「おっ!ニンフィアをたすけましたか!
グレートジョブですね!
コオネクテーーーーッド!!」

突然叫び出すデンリュウに、私達は驚きと苦笑いが混ざった顔をする

「素敵な響きですね……!」

デンリュウが言っている意味は、先程ニンフィアを助けた時に起こった繋りオーブの動きに関することだ

コネクテッド、つまり繋り

「ポケモンと繋がると、そのポケモンの知り合いが明らかになります
そしてそのポケモン達の呟きも見られる様になり……
その先の知り合いもまた伸びていくのです
この様に繋りオーブはポケモンの呟きだけでなく、ポケモン同士の関係も見ることが出来るものなのです」

「へぇーっ!」

「こうして呟きを調査していけば、ポケモン同士のネットワークもどんどん広がっていきます」

「そっか!その先のポケモンの悩みもまた解決していけばいいんだね!」

デンリュウとレンがどんどん会話を進めていく
私はと言うと、さっきのニンフィアの笑顔が脳裏をずっとちらついて離れなかった
話しは勿論聞いてるけどね

「後は二匹でやれますよね?
調査団のお仕事頑張ってください!」

「うん!ありがとう!デンリュウ!
メイ!大体コツは掴めたよね!」

「うん」

デンリュウの前から私へ向き直って、レンが元気よく話しかけてくる
私もいつも通りの笑顔でそれに答えた

「調査団見習い頑張ろうね!」

「おー」

その日は、二匹で笑いながら帰った

そして夜、私はまたスケッチブックに新しい一ページを描き始める

可愛らしい最高の笑顔

そういう顔が見たくて、私はこの仕事を頑張るんだ
レンに半強制的に誘われたけれど、私は私なりにこの仕事をする意味を見つけ出そうとしていた

「ふふ、可愛かったなあ」

仕上げに取り掛かる頃になると、あの笑顔がまたここに表現されてきているからか、私まで何だか幸せになってきた
自然と笑顔が溢れる

このスケッチブックに、私の新しい記憶が刻まれていく
もう二度と忘れない様に、無意識にそう思ったのか、ただ絵が描きたかっただけなのか

ただメイは、私は、今を精一杯生きるしかない
調査団見習い、頑張るよ


夜は更けていった







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