スケッチブック

□7,嘘つき
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「おはよう!メイ、気持ちのいい朝だど!
今日も元気に学校楽しむんだど!」

朝、重たい気持ちを引き摺りながら、私は学校に向かう

コノハナには昨日のことはとても言えないから、何も言ってないし、表情にも出さない様に気を付けてる

家を出て、広場を抜け、学校へ



「今日は保険体育の授業よー
今日は『進化』について勉強しましょう」

「ええ〜!?進化ってあの!?」

「もしかしてエッチな!?」

ええ!?

「何言ってるんだお前?
全然違うぞ
進化ってのはな、でかくなるんだ
オレはでかくなりたいぜ」

「うーん大体合ってますかね」

「へえ〜っ!?大きくなるんだ!?」

「でも身体が大きくなるだけじゃなく、他にもいろいろな変化が起こります
何となく大人に近付いていく…という意味では…レンが考えていたことも強ち間違ってないかもしれません」

「…(どんなこと考えてたのかしら…)」

少なくとも進化は十八禁じゃないよ
十五禁でもないよ

「そして進化にはさら…「す、すみませんっ!!」」

授業の間に入ってきたのは慌てた様子のロゼリアだった

「あのっ!こちらにスボミーは来なかったでしょうか!?」

「えっ?スボミーちゃんが?
いいえ、こちらには来てませんよ?
スボミーちゃんが学校に上がるのは確か来年からですよね?」

「ああっどうしよう…?
近所を探したけど何処にもいなくて…」

「ええっ!スボミーいなくなっちゃったの!?」

「やっぱり保安官に相談した方がいいかしら…
授業中ごめんなさい」

引き返そうとしたロゼリアは、急にその場に倒れてしまった

「わっ!大丈夫!?ロゼリア!」

「ええ…最近目眩がして…」

「とりあえず保健室で休みましょう」

タブンネが保健室に連れていくのを、私達は心配そうに見守った

「スボミーどうしたんだろ…?」

「心配ね…」

「まあシキジカちゃんは優しいからそう言うけどさぁ…
ちょっといなくなっただけなのに大袈裟過ぎだと思うぜ?」

「何言ってるの!?
あんなちっちゃい子がいなくなったら心配するのは当たり前でしょ!?」

またざわざわと言い争いをする子供達

確かに親なら心配になるとはおもうけど…

あれ?スボミー…?
スボミーって確かあの時の…

一緒にハチミツの話を聞いてた…

もしかしてスボミーは…!
ハチミツが欲しくて…

「ねえ、皆、聞いて」

「ん?メイ、どうしたの?」

「スボミーの行き先、私判るかもしれない」

その言葉で、一瞬場が静まった

「ええ〜っ!?」

「昨日、村のポケモン達が話してたのを一緒に聞いたんだ
カンロ草原のハチミツの話を熱心に聞いてた
だから、多分スボミーはハチミツがほしくてカンロ草原に行ったんじゃないかな」

「カンロ草原に行ったの!?
ハチミツを取りに!?」

静まったのは本当に一瞬だけだったが、言い争いは収まった

「カンロ草原は確かハチミツ作りが始まってるはず
行ったとしたらかなり危険ね」

「ハハハハハハハハ!
皆何信じてるんだよ!
コイツ昨日嘘ついたばかりじゃないか!」

「え?」

「あんな豪快な嘘をついたばかりなのにすげーよな!
また嘘がつけるなんてよう!」

嘘なんて、ついてないのに…

「そっか、あぶねえ
危うく騙されるとこだった」

誰も、信じてくれない

「…判った、だったら一人で行く」

このまま、スボミーを放ってはおけない

「メイ!!」

私は一匹でその場を離れて、抜け出した

「おい!コラ!」

「授業中抜け出しちゃいけないんだぞ!?」

ヤンチャム達の声は、聞こえないフリを決め込んだ



「あーあ、しーらないっと
まあ後で先生に怒られるのはアイツだしな
ハハハハハ」

「メイ…」







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