スケッチブック

□7,嘘つき
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三時間目

授業はまた課外授業

「今日はスペシャルゲスト!
保安官の皆さんに来ていただきました!」

教頭先生に紹介され、保安官のコイルとその進化系、合計三匹がサイレンの様な音を少し鳴らした

子供達は保安官が来たことが嬉しいみたいで、私以外の皆が盛り上がる

「今日ハ『連携』ノ実演ニマイリマシタ」

「連携…?」

「そーです!連携です!
チームの皆で連携して技を繰り出します!
すごく大切なことなので皆よーく覚えておくよーーーに!
それでは森の奥で実習しましょう」

学校裏の森に場所を移し、実演が始まる

「生徒達はよーく見ておくよーーに!」

「本当二大丈夫デスカ?」

「気絶シチャウカモシレナイヨ?ビビビ…!」

「大丈夫!ワタークシを誰だと思ってるんです!
遠慮なく来なさい!さあ!!」

教頭先生の勇姿、目に焼き付けとこ

「デハイキマス!
クラエ!ワレワレノ…
『トリプルビリビリアタック』!!(名前今付ケテミマシタ!)」

「ぎゃぁああああああー!!」

三匹が光ったと思ったら、敵(今はミルホッグ先生だけど)を取り囲み、一斉に技を放つ

「きょ、教頭先生!!」

「なんの…これしき…
だ、大丈夫…です…
それよりちゃんと見ましたか…?
今のが連携です…
一気に囲んで攻撃する…
しかも技の相性が悪くても関係なしに敵にダメージを与える…
それが連携なのです…
ただこれ、お腹がたくさん減るので使いすぎには注意が必要ですが…
さあ、皆さんも連携をやってみるのです…」

立ち上がった教頭先生はフラフラだったけど結構頑張って身体を張れる先生なんだなあ、と感心した

「このワタークシに向かって!さあ!」

…ただのドMかもしれない

一通りミルホッグ教頭先生を相手に連携の練習をした

先生頑張り過ぎ…


そして授業は終わり、下校時間になった

今日は本当に一人で帰ることになった

皆が帰ってから学校をとぼとぼと出て、広場に出る

「お嬢ちゃん、今日も一匹なのかい?
前はレンと一緒だったのに、喧嘩でもした?」

「カクレオン…」

話し掛けてきたのはカクレオン、道具を売ってるお店の店主

「ちょっとね
…あれ、それ…」

「ん?ああ、これね
スケッチブック、絵を描くのに使うんだよ
お嬢ちゃん絵、好き?」

「…判んない、けど…描いてみたいかな」

「じゃあ、一冊あげるよ」

「え?いいんですか?」

「でも画材は買ってってね」

「…成る程」

ダンジョンで拾ったお金を使って、私は色鉛筆を買った
カクレオンがスケッチブックをくれて、私はその二つを持って広場から出た

家にはまだ帰らずに、日が落ち始めた村の外へ
あの大きな木のある丘へ向かった

ここから見える景色、夕方の、橙色に染まって来たそれがやけに切なく見える
スケッチブックの白い頁に、描きなぐる様にそれをとどめていく
自分で思っていたよりも遥かに器用に、景色がそこに、淡く存在し始め、風が吹く事に冷える身体を気付かないフリをしてやり過ごす
そうして、空が今度は紺色に染まり始めた頃、メイは漸くコノハナの家に帰宅した



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