スケッチブック

□5,競争の果てに
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「今日は課外授業だ!」

カモネギのその言葉で皆突然喜びだす
私だけその意味を理解しかねて首を傾げていると、隣で嬉しそうに跳び跳ねていたレンが教えてくれた

「ダンジョンに行く授業だよ
皆で冒険に行くんだ!」

ああ、成る程
子供はそういうの好きだよね
え?今の私も子供だって?
…そっか、そういうことになってたっけ

「こらこら!無駄話するんじゃない!
ちゃんと先生の話を聞くように」

漸く静かになった皆が、カモネギに向き直る

「えーと、コホンッ
今日は学校うらの森へ行ってもらう
森の奥にはフラッグが置いてある
それを取ってくればクリアだ」

この学校のそんなに大きくないグラウンドの奥をネギの様な茎で差し、カモネギは簡単に説明してくれた

「先生!チームは?」

「メイが一匹増えたんで余ります」

何かその言い方だと私が何匹かいるみたいに聞こえるんだけどとりまき
え?違う?

で、チームって何?何匹かに別れるってことだろうけど

「三匹で一つのチームを作るんだ
一匹で冒険するのは寂しいけど沢山いすぎても足並みが揃わない
ダンジョンに行くには三匹で行くのが一番丁度いいとされてるんだ」

「へえ」

レンの判りやすい説明があって助かるよ

「チームの組み合わせは決めてある

一つはヤンチャム、チョボマキ、シキジカ
もう一つはヌメラ、レン、そしてメイだ」

「ええーっ!?ヤンチャム達と一緒!?」

「やった!ラッキー!
オレ達シキジカちゃんと同じだ!
シキジカちゃんやよろしくな!」

「うん、我慢する」

嫌なのは隠さないけどちゃんと我慢するシキジカ偉いね

「あの先生…ワタシは…」

「ニャスパーはオペレーションを頼む
クリアするには皆のチームワークが大切だ
なので今回はここに残ってテレパシーで二つのチームを上手くサポートしてほしい」

「判りました」

「オレ達一緒のチームだよ!よろしくね!
ヌメラにはオレの空回りでいつも迷惑かけちゃってるけど…
今度は大丈夫!うまくやるから!」

「う、うん
よろしくね」

レンの空回りか、何か想像つくなぁ
この二匹正反対っぽいイメージだし


「さあ、ではそろそろ行こうか
今回の授業のテーマは道具マスターへの道だ
今から道具箱を配る
学校の教材だ
皆の持ち物はワタシが一旦預かる
預かった道具は預かりBOXに入れておくから安心してくれ
道具箱の中の道具を上手く使ってダンジョンをクリアするんだ
ではチームの代表者は道具箱を取りに来てくれ」

私達のチームからはレンが、ヤンチャム達からはヤンチャムが、各々カモネギ先生に道具を預けて道具箱を受け取った

「では皆!頑張ってくれ!」

「早いとこクリアしちゃおうぜ」

「メイ達には負けたくないもんな」

「じゃあな」

そこで何で私の名前が先に出てくるのかな

ヤンチャム達はさっさと学校うらの森に向かって行った

「オレ達も早く行こう!学校うらの森へ!」


私達も学校うらの森へ入っていった

「学校の裏にこんな森があるんだね」

「凄いでしょ、ちゃんと敵ポケモンもいるから気を付けてねメイ」

「うん」

ちゃんとしたダンジョンになっている森を奥へと進んでいく

ツーツツツ……!

突然頭に響く様な音がして、私達は立ち止まった
私は思わず辺りを見渡してしまうけれど、レンとヌメラにはそんな様子はなく、レンは振り返って空を仰ぎ、ヌメラはその場でただ立ち尽くしていた

《レン、メイ
ヌメラ…聞こえる…?》

ニャスパーの声だった

「ニャスパーは離れた場所からでもテレパシーで会話が出来るんだよ
ニャスパー!聞こえるよ!」

《問題ないようね》

成る程、流石エスパータイプ…なのかな

「ヤンチャム達は?
オレ達より進んでる?」

《ええ
さっきコンタクトを取ったけど…
あの様子だとレン達より大分先に行っているようね》

「そっか!ありがと!
オレ達も負けてられないよ!
もう少しペースを上げていこう!」

「こ、これ以上ペースを上げるの…?
ボクついていけるかな…」

レンはヤンチャム達を気にしていてヌメラのことを顧みていなかった

「大丈夫!きっとやれるよ!
ラクショー♪ラクショー♪
とにかく、どうせやるならヤンチャム達に勝ちたいよ!
二匹共そう思わない?
頑張って行こう!」

私達の意見は最初から聞いていないかの様に返事する暇もなく、レンは先へ進んでいってしまった

私もそうなると、レンについていくのがやっとで、ヌメラには頑張ってと一声かけることしか出来なかった



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