心結び

□8,大氷河
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冒険の準備を済ませ、再びブラッキー達の元へ


「じゃあ、皆を呼び集めよう
マグナゲートを呼び込むぞ」


宿場町のいろんなポケモン達が集まって、丘の上でわいわい騒いでいる

いよいよ完成形が見れるんだ、皆好奇心でいっぱいなのが判る

「エーフィ、そっちはどうだ?」

「大丈夫、準備OKよ」

「よし!
皆!ちょっと離れてくれ!」

ざわめいていたポケモン達が一斉に離れる
僕達も、同じように離れた

「行くぞ!」

「うん!」

「3…2…1…!」


最後のカードが嵌め込まれ、眩い光と共に不思議なゲートが開かれる

この前と大きく違う点は、周りを、赤い紋様に囲まれていることか

「すげえ…!」

「これが…マグナゲート…」

これまた、とんでもないことが起こっている
まるで、ゲームの中に入り込んだみたいだ(実際その様なものだが)

「やった!完成ね!」

「これでやっと…やっと行けるんだ!
大氷河へ!!」

ブラッキー達は嬉しそうにマグナゲートを見詰めた
長い間ずっとしてきた研究の完成だ、嬉しくない筈がない

「マグナゲートを呼び込んだわ」

「後はあの光の中に入ればダンジョンへ吸い込まれる
俺達はあの中で調べたいことがあるから先に行ってるぞ」

「マグナゲートは時間が経つと消えちゃうから注意してね!」

「判った」

卯月の返事に満足して、ブラッキー達は一足先に光の中へ

「皆も早く来てね!」

その一言だけ残して消えていった

「じゃ、私達も行こっか」

同じく、光の中へ

「皆!気を付けて行ってきてね!」

ノコッチの声に、皆顔を向ける

「お土産待ってるからね!
帰ってきたら…大氷河がどんなところだったか教えてね!」

そう言うノコッチは、目に涙を浮かべていて…

「あれ?ボクどうして涙が…?
お、おかしいな…
笑顔で見送ろうって決めてた…のに…」

「ノコッチ…!」

「ノコッチ…」

「泣くな!ノコッチ!!」


エモンガが叫んだ

素早く、光から出て代わりに

ノコッチを押し入れた

「えっ…?」

エモンガ…!

「ノコッチ!大氷河はお前が行け!」

「ええーっ!?」

「必ず心に残る様ないい旅を…!
ワクワクするような冒険をして帰ってこい!
大氷河の全てをその目に焼き付け…
大きくなって帰ってくるんだ!!

皆…ノコッチを…ノコッチを…よろしく頼んだぞ!!」

「エモンガ!」

「エモンガ…!!」

皆、その名前を叫んでいた

皆が残ると言う中、自分は残ると言わなかったエモンガが、まさかこんなことをするなんて…

光は消滅しようとしている
マグナゲートが閉じる

「駄目だよ!エモンガ!
エモンガーーーー!!」


ノコッチの叫び声、その途中で、僕達は光に呑まれた

ダンジョンへ、導かれた


「絶対にいい旅をして…帰ってこいよーーーーー!!」



エモンガの声が、聞こえた気がした








気が付くと、水の滴る音が聞こえていた


「ここは…どこだろう…?」


近くから卯月の声が聞こえる

「ここがエンターカードで地脈をねじ曲げて作ったという…
ダンジョンの中かな…?
真っ暗で…よく見えないよ…」

「…!向こうから声が…!」

次に聞こえたのはビリジオンの声

「ブラッキーの声じゃないかしら」

「向こう…?どっちなの?」

「こっちよ、ついてきて」

見えないんだけどな

「うわっ…!」

「あ、ごめん葉月」

卯月とぶつかって驚いた

「全く…よく見えないな…」

ん?気が付くと卯月に密着されている様だ
あまりに暗いから怖いのかな

「ビリジオン、どこ?」

「ここよ」

ビリジオンの声を頼りに、僕はつるを伸ばした

「ちょっと失礼」

「あら、ふふ
ついてきて」

ビリジオンの首もとに、失礼してつるを巻く
そのままブラッキーの声がする方へ連れていって貰った

近付いていくと、段々明るい光が見えてくる

「皆来たわね」

ブラッキーとエーフィの二匹と合流

僕もつるを離して円になる

ノコッチだけが、来た道を振り返っていた

「エモンガ…」

「ノコッチ…」

「本当…
最後の最後になってあんなやり方をするなんて…狡いわね…」

「…全くだ」

僕達の発言と、ここにいるメンバーから、ブラッキー達もエモンガが残ったことは判ったはずだ

「そうか…」

「仕方がないとはいえ…やっぱり寂しいわね…」

「でも私達は…
そんなエモンガの優しさに応えなくちゃいけない」

「ノコッチ、しっかり大氷河を目に焼き付けるんだ
エモンガの分まで」

僕達は僕達の冒険を、成功させるんだ

絶対に

「うん…判ってる…
きっとボクに…ボク達皆に…
いい冒険をして欲しくて残ったんだ
だったらその気持ちを大事にして…
今は前を向かなくちゃ」

「皆前を…前を向いて進もう!
力を合わせてこの冒険を成功させよう!」

僕達は、先に進む

鍾乳洞の様な空間を暫く進むと、そこには預かりBOX

どうやら、ここから先はダンジョンの様だ

「ブラッキー!あれ!」

「うん、間違いない
地脈の狭間…その入口だ
ここまでは予想通り」

「そして…皆、ここからが本番よ」

「ここからは不思議のダンジョンが広がっている
ただ、エンターカードで地脈を無理やりねじ曲げてるせいで…
不思議度もどうなってるのか読めない」

「この先、何が起こるか判らないの
だから注意してね」


僕達は黙って頷いた
ダンジョンの入口に来ることは判っていたが、何が起こるか判らない、か
気を付けて進もう

「後…気になっていることが…
前にブラッキー達を襲った奴らなんだけど…
あいつらがここでまた襲ってきたりすることはないのかなぁ…?」

あの、ドクロッグやブニャットか

「そっか!
宿場町から出た訳だしまた襲ってくるかもしれないよね!?」

「それは大丈夫」

「エンターカードで呼び出したダンジョンは特別なんだ
全く同じエンターカードでここに入ってこない限り、俺達を探し出すのは難しいと思うよ」

無理…ではないんだな

「そっか、じゃ心配いらないね」

「私の計算だとこのダンジョンを抜けさえすれば…
巨大なクレバスを越えて大氷河の前に出てこれるはずだわ」

「それじゃあ、二つのチームに別れて行こう
葉月、チーム編成をよろしく頼む」

また僕か、何で僕なんだ

「私は問答無用で葉月についてくからね」

それも何でだ


僕達は二つのチームに別れ、地脈の狭間を攻略に掛かった


「はあっ!」

グラスミキサーでコジョフーを攻撃する

「葉月!」

負けじと攻撃しようとしてきたコジョフーに、後ろから卯月が飛び出して電気ショックで仕留めた

「はあ…最近一撃で倒せることが増えてたからなあ」

「そうだねえ、気を付けて行こう」

因みに一緒にいるのはノコッチだ
三三で別れた方がいいだろうと思ってノコッチを入れた三匹で攻略している


「でも、強いのはさっきのコジョフーとメグロコだけみたいだね」

「そうなんですか、じゃあその二匹に気を付けてれば大丈夫ですね」

「ビリジオン達も先に進んでる筈だし、私達も急ごう」



長いダンジョンを進む

毎回のことだが、戦いながら進む…というのはなかなか大変だ

なんか、敵多いしな…



なんだかんだで僕達は地脈の狭間を抜けていった




再び光に包まれ、気が付くと僕は寒さに震えた

人間の時はそんなに寒いのは苦手でなかったのに
やはりツタージャの身体には厳しい環境だ
ビリジオンも同じ筈

「こ…ここは…外…?」

雪山の様な場所に、僕達は立っていた



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