虹の旅路

□5,コンテスト
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何だかんだ昼食を食べ終わり、コンテスト会場へやって来た

翡翠『わあー、いっぱいいるね』

「思ってたより人多いな…」

飛由『意外と人気なのな…』

それぞれ一言ずつ呟いてから取り合えず適当に時間まで待つことに

因みに、出場者が多いことに皆が吃驚しているのだ
観客に関しては見ていない

開始予定時刻までは10分を切っていた

コンテストはアニメと同じ仕様で、一時審査二次審査で優勝が決まる
午前中に練習していたのは一次審査が主だ

開始予定時刻を回り、遂にコンテストが開催された
優木の順番は31番
結構待たされることになりそうだ
出場者の演技を見ながら時間を潰す

飛由『練習は十分やったのか?』

「うん、まあ
そんなに長い時間はやってないからまだちょっと不安だけど、一応形にはなってる
翡翠の覚えがいいおかげで」

翡翠『えへへー』

飛由の問い掛けに答えて翡翠を撫でて褒めると、嬉しそうに頭を擦り寄せてきた

飛由『…俺はボールの中でゆっくり見物するからよ
精々頑張れ』


「判ってる」

忘れてはいけない
今端から見たら、優木は変な子であることを
視線を感じた優木は、しまったと思いながら飛由をボールに閉まった


順番が漸く回ってくる頃、優木は視線からそそくさと逃げる様にステージ裏に待機した
前の人が終わり、いよいよ優木と翡翠の番
珍しくボールに入っている翡翠を出すべく、宙へと放った

「翡翠!」

乾いた開閉音と共に翡翠が飛び出し、器用につるでバランスを取って着地する
翡翠の礼に合わせて優木も礼、ここからが本番

「翡翠、葉っぱカッター」

翡翠『うん!』

元気に返事をして葉っぱカッターを宙に飛ばす

「続いて宿り木の種!」

落下途中の葉っぱに種を植え付ける様に宿り木を放つ
それは見事に葉っぱに命中
優木もそれをしっかり確認して更なる指示を出す

「日本晴れ!」

翡翠『りょーかい』

翡翠は、辺りに花粉を撒きながら日本晴れを決めた
日本晴れが花粉を輝かせて翡翠の魅力を引き立てる

地面に辿り着いた宿り木入りの葉っぱから、細い幹がみるみる伸び出す

まるで翡翠の踊りで木が成長する様な、大自然の神秘的な演技だ

「葉っぱカッター」

静かに出された次の指示に花粉を振り撒くのをやめ、宿り木の種から出来た木の枝に取り付ける様に優しく葉っぱを上に放った

まるで本物の木の様になったそれ
いよいよフィナーレが掛かる

「もう一度葉っぱカッター!」

翡翠『えいっ!』

今度は思い切り木に投げられた葉っぱが、スパッと木を両断

「フィニッシュだ、ソーラービーム!」

その指示と共に、丸太となった木の上で、光輝く太陽のエネルギーが真上に撃ち上がった
残った光が翡翠に降り注ぐ
再び礼をすれば、演技終了

観客から惜しみ無い拍手が送られて、優木と翡翠は控え室に戻った



飛由『良かったぜ』

狭かったとばかりに翼を広げ、飛由が言った

「ありがとう
翡翠が頑張ってくれたから」

膝の上で一緒に結果を待っている翡翠の頭を撫でてお礼を言う

翡翠『えへへー、翡翠頑張ったよ』



暫く経つと、二次審査に移れる人を電光掲示板に顔写真で映される
優木は一番目にして早々に映され、ホッと息を吐いた

二次審査はトーナメント戦
残ったのは僅か8人
最初の相手、次の相手と軽く突破
決勝戦、相手はピジョンでここまで勝ち抜いてきた鳥使いの少年だ
お互いバトルフィールドにポケモンを上げてバトルスタート

先に動いたのは相手のピジョン
相性がいいからか、ここまで勝ち抜いた自信からか
自信満々に指示を出す

「風起こし!」

『うおぉらぁ!』

力強い声と共に激しい風を起こしてくる

「ソーラービーム!」

光で攻撃するソーラービーム、これならば風に影響しないはず
優木の指示を聞いて光を集め始める翡翠

「チャンスだ!翼で打つ!」

途端に風起こしを止めて接近してくる
優木はその様子に笑みを浮かべると、溜めている最中で動けない翡翠に指示を出した

「中断してつるのムチ!」

翡翠も一瞬戦闘モードの不適な笑みを浮かべると、あっさりと背中の種に集まってきていた光を拡散させた
その光は散らばって、翡翠の回りで輝く

そのまま翼で打つの為に接近してきていたピジョンにつるを巻き付けて技を封じた

「な、何!?」

「おっと優木選手、まさかのソーラービーム中断です
その光がフシギダネを綺麗に飾りました!」

ナレーターの声と共に相手のゲージが削れる

「痺れ粉!」

翡翠『了解!』

捕まえたまま痺れ粉を出す
これで素早いピジョンの動きが遅くなる

「花弁の舞!」

つるを離して翡翠の二つ目の大技、花弁の舞

「ピジョン、飛んでくれ!」

必死に飛び上がって逃げようとするがしかし、痺れ粉の影響でどうしてもその場で身体を震わせるだけに終わってしまう
結果花弁の舞全てに当たってしまったピジョンは、音を立てて地面に落下した

「ピジョン!」

「ここでタイムアップです!」

結果は勿論優木の勝ちだ
表彰台の上に立ち、観客から拍手が送られる
優勝賞品として雷の石を貰った

「それでは素晴らしい演技を魅せてくれた優木君とフシギダネの翡翠に
皆さんもう一度暖かい拍手をー!」



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