虹の旅路

□4,初めてのジム戦
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次の日

博物館にやって来た優木は受付で受験番号の紙を貰い、会場へ入った

飛由『へー、結構人いるんだな』

翡翠『男の人も沢山…恐い…』

人混みを恐れる翡翠を宥めてから二匹をボールに戻す

「後でね」

とだけ言ってボールホルダーに装着
受験番号の書かれた席へと座った

受験が始まり、解答を埋める
内容はポケモンの基礎的な知識に始まり、手持ち制限を解除出来るにあたり必要となる新たなルールのことだった
優木は649匹のポケモンを知っている為簡単な内容だった
新たなルールも博士から大体のことは昨日聞いたところの為問題なく埋まる

結果は聞くまでもなく合格
しかし今回の合格者はまさかの二人
難しい試験らしく殆どの人が不合格だった

手持ちの制限を解除した優木はその足でポケモンジムへ向かう

翡翠と飛由も既にボールから出ていた

飛由『ジムは何か対策あるのか?』

「ん?…まあね
相手は岩タイプのジムリーダータケシ、弱点は水、草、鋼…
先発は飛由
機動性でイシツブテの攻撃をかわしつつ鋼の翼ってとこかな
翡翠はいつも通りやってくれれば絶対勝てるから」

翡翠『翡翠頑張る!』

飛由『へっ、判った
勝ちに行こうぜ!』


気合い十分の翡翠と飛由に優木も気合いが入る
負ける気がしないな
と思っていた時だった

翡翠『…あれ?優木目の色変わった』

「え?」

翡翠の不思議そうな顔に覗き込まれ、その発言と合わせてきょとんと翡翠を見詰め返した

飛由『ん?いつも通りじゃね?』

飛由にも覗き込まれるが、何とはなしにそう言われた
翡翠も優木の目をもう一度見るが、飛由の言う通りいつも通りの綺麗な緑だった

翡翠『…あれ?本当だ…気のせいかな?』

一人と二匹は首を傾げた
丁度ジムにたどり着いた時だった



「お邪魔します」

扉を開けて、慎重に中へ入る
そこには昔アニメで見たあの岩の風景が広がる

ジム内には重苦しいような空気が流れていて、自然と緊張が走る

優木は翡翠と飛由を順番に見た、二匹共自信満々に優木を見詰め返す
押し寄せて来ていた緊張が、解れていく

大丈夫、きっと勝てる

翡翠『優木、あの人かな?』

翡翠の言葉を聞き、奥を見ると、堂々と仁王立ちでタケシが立っていた

「君がチャレンジャーか?」

「はい」

優木の凛とした冷静な声がジムに反響する

「俺はタケシ、このニビジムのリーダーだ」

「えっと、僕は優木です
よろしくお願いします」

優木が軽くお辞儀をすると、タケシはフィールドに優木を手招きした

「使用ポケモンは二体
交代はチャレンジャーのみ認められます」

いつの間にいたのか、審判であろう子供が赤と白の旗を持って立っていた

赤はジムリーダー
白はチャレンジャーの方を向けて、お互いがポケモンをフィールドに上げるのを待っている

「行け!イシツブテ!」

『おう!』

短く返事をしたイシツブテがタケシの前に赤い光に包まれて現れた

「飛由!頼む」

飛由『へっ
判ってらぁ』


岩のフィールドの上空を、飛由が飛ぶ
単純なタイプ相性だけを見れば、こちらが圧倒的に不利

「飛行タイプか、嘗められたものだな」

「…こいつは、飛由は強いですよ?」

タイプの不利を感じさせない不適な笑みを浮かべる優木に、タケシは背筋にゾッとするものを感じた

なかなか、楽しめそうだ
己の闘争心を掻き立てられ、強い相手だと本能的に察知した様に、まだ戦ってすらいないと言うのに汗が頬を伝った

『あいつ、目が変わりやがった……?』

イシツブテの言葉に飛由が振り返る

飛由『…お前…』

首を傾げると飛由が更に吃驚したような顔をした

飛由『戻った…な』

翡翠『気のせいじゃなかったんだ…』

翡翠までもが優木の隣から目を覗き見る

「あの〜…皆とりあえずジム戦…」

優木が少し恥ずかしそうに苦笑いしながら言うと、漸く皆がバトルに集中する


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