スケッチブック

□6,リングル&ラピス
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次の朝、いつもの様に起きて、まだ帰っていないコノハナのいない家で軽い準備を済ませる
今日も学校だ
家を出ようとした時

「メイ、おはよ
今日はオレ先に学校行ってるね
いつも一緒だと鬱陶しいと思うし
じゃあね、メイ」

「あ…」

声を掛ける暇なく、レンは先に行ってしまった

昨日のこと、まだ気にしてるみたい

一人で行くしかない


住宅街を出て広場に出る
学校に行かない大人達から挨拶されて返して、私は学校にたどり着いた

ちょっと遅れちゃったかな…

何やら騒がしい声が聞こえ、そっちを見ると、レンとヤンチャムが喧嘩しているのが見えた

「へへっ!聞いたかよチョボマキ!
コイツ本気で今すぐ調査団に入りたいらしいぜ!?」

「ああっ!ちゃんちゃらおかしいよね!
子供は調査団には入れないんだぜ?
知らないのかよ?」

「知ってるよ!
でもやれば出来る!
オレは信じてるよ!」

私はレン達のいる教室へ向かった
未だ言い争いを続けているレン達を止める者は今はいない

「出来る!信じてる!…だってよ!?」

わははは!!

ヤンチャムとチョボマキが大笑いする

「ど、どうしてそんなに笑うんだよ!?」

「どうしてって…子供は無理に決まってんだろ!?」

「そうでなくてもお前、冒険の実力だって今一じゃないか?」

「ううっ…」

レンが痛いところをつかれて俯く
それをヤンチャム達は止めたりしないで責めた

「昨日だってやらかしたしな!
ニャスパーぐらい実力があるならまだしも…
レンじゃよう!
ギャハハハハハーーーっ!!」

落ち込むレンの様子に、昨日のことが他人事ではない私もヤンチャム達に何かを言うことは出来なかった

そんな時に、授業開始を知らせるあの木の実の殻がぶつかる音が響いた

「さあ、授業を始めるよ
皆席についたついた」

皆が動きだすなか、レンだけは動かなかった
私もそれを見てつい、その場でレンの様子を伺う様に立ち尽くす

「おいレン
どうした?早く席に…」

「ブツブツ…
あんなこと言われちゃったけど…
大丈夫だよね
うん!絶対大丈夫!!
オレは絶対諦めない!
絶対大丈夫!大丈夫だぞー!!」

レンは空に向かって叫んでいた
私は、その様子を見て少し安心してしまった
何がどう大丈夫なんだか

「おいレン」

「…あっ」

カモネギ先生にどつかれるまで後数秒かな

「授業はもう始まるぞ」

「ははっ…!
はははははははっ…!」

急に笑いだすレンに、カモネギはどつく気を無くす

「なんだ?どうしたんだ?気持ち悪い
まあ今に始まったことじゃないが…」

「先生ごめん
ちょっと考え事しちゃって」

レンは私の隣の席について、私も漸く席についた
レンが先に入らないと退かないといけなくなっちゃうから

「うん…挫けない…
挫けないぞ…」

「チッ、諦めの悪いやつめ…」

聞こえてるぞヤンチャム

「まあいいか…
さあ、では今日も元気に授業を始めるぞ!」



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