音駒 短編

□素直になれない
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~昼休み~

はぁ…今日もなんて可愛らしい。

うっとりとあたしが見つめる先は
[孤爪研磨]
席が斜め前のところにいる彼は
ゲーム機をピロピロ言わせていた。

もう、何してても美化しちゃうよぉ
こんなに人を好きになったの初めてかも…



「ねー、孤爪ちゃん」



ニコニコと私は
彼がこちらを向いてくれるように
名を呼んだ。
少しでも私を見てほしいから。

彼は動かしていた指を止めて
眉間にしわ寄せ一言吐いた。


「その呼び方止めてくれない?」


やっぱりそっけない態度…。
いつになったら貴方は私を真っ直ぐ見てくれるの?

まぁ、彼には暗い顔見せられないし
好きだってバレたくないし
ちょっと
頑張って作り笑いをした


「そんなおっこんないでよー、ね?」
「…。」

ウインクで誤魔化すが、
彼は真顔でこちらを見る
私はその彼の目にドキッと胸を高鳴らせた

「な、何?」

ちょっとこんな長い時間目を見るのは初めてよっ!?そんなに見ないでよっ!
照れるじゃないっ!

「…赤い」
「へ…?」
「顔。照れてるの?」

何もかもお見通しって感じで言ってきた。バレると思った私はつい真逆な事をいってしまう

「なっ!はぁ!?照れてないしっバカっ!」

はぁ…またやらかした…
あたしだって素っ気ない態度とってるじゃない。

「ふーん、で?」
「で?」
「…何で呼んだの?」

あ、そう言えば、
貴方に私を見てほしくて…呼んだの。

「…」
「…?」

首をかしげ不思議そうに見る彼。
そんな行動可愛すぎる

「…っ、何でもないよ」

笑顔でそう言って私は机に顔をふせた。
…はぁ、つらい。

その後、チャイムがなり机にふせたまま授業が始まった。








好きだよの4文字が言えない…。
ダメだな、私は…



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