ゴースト
□第五章
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「凛、聞いてる?」
千鳥は空に向かって話を続けた。
「凛の想い、ちゃんと夏目くんに伝わったよ。
夏目くんも凛のことが好きなんだよ。
私も夏目くんのこと好きだけど、凛だから素直に嬉しいんだよ。
すごい勝手かもしれないけど、二人の恋が実ってほしくて私は行動しました。
どうか二人とも、お幸せに……」
最後に夏目の方を見てニコッと笑うと、千鳥は逃げるように校舎内へ入っていった。
千鳥の突然の告白に驚きを隠せないままだったが、
ようやく昨日の言動の意味が明かされ、夏目は素直に嬉しかった。
少しずつではあるが、バラバラだった欠片たちが繋がり始めていたのだ。
夏目は早く美園に会いたかった。
美園が千鳥の前に姿を現さなかった理由もなんとなく分かる気がした。
きっと、気まずいのだろう。
自分が美園の立場でもそうしていただろうと思う。
だからいっそう早く会いたかったのだが、美園は現れないまま朝の予鈴が鳴ってしまった。
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