ゴースト

□第四章
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さらーっと読みながらも、「あの人」が出てくる頻度が日を追うごとに増えていることに気がついた。

なんとなく、美園は「あの人」のことが好きなんだと思えていた。



『6月3日。今日は体育祭だった。
実はずっとあの人を見てた。私ストーカーみたいかな?笑

汗をかきながら走るあの人は、すごく格好良かった。』



『7月1日。放課後ひまだったので、屋上に行ってみた。
そこから見える夕陽はとってもキレイで、癒された。

疲れなんかどっかに飛んでいっちゃうね。』



あ、と声が出る。

この時から屋上に行っていたのか……。



『7月21日。今日から夏休みだ。暑いのは苦手。

しかもあの人に会えないなんて……。

でも奈々たちと遊ぶ約束たくさんしたから楽しみだ。
遊べるのは今のうち。』



また、他愛もない日々の記録が続く。



『12月24日。今日はクリスマスイブ。そして明日から冬休み。

あの人は彼女とかいるのかなあ。
付き合ったりとか、そういう噂が最近多くなってきた。

私も、あの人と……なんて(笑)』



『2月14日。クラスの友達とたくさんチョコを交換した。

今年も男の子には弟とお父さんにしかあげてない。

あの人にはあげれるはずもない。』



『3月8日。今日は三年生の卒業式だった。

なんとビックリ、書道部の先輩に告白されちゃった。
気持ちは嬉しかったけど、付き合ったりはできないかな。

やっぱり私はあの人のことばっかり考えてて、あの人のことが好きなんだと思う。』



胸がえぐられた気分になる。

夏目はだんだん、読むのが辛くなってきていた。




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