ゴースト
□第二章
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キーンコーンカーンコーン
六時間目終了のチャイムが鳴り、生徒はそれぞれ帰宅の準備をし始める。
日が沈み始めた頃、夏目は辺りに誰もいないことを確認し、屋上へと続く階段を上った。
立ち入り禁止のチェーンをまたいで、その先にある扉に手をかける。
鍵は錆びて壊れているらしく、少し力を入れれば簡単にノブは回った。
重みのある鉄の扉を開けると…
そこには思わず息を飲んでしまうほどの絶景が広がっていた。
西側には校門が見え、さらにその先に続く坂道の向こうに夕陽に染まる町並みが見えた。
夏目は自分の住んでいる家も見えたことに驚いた。
下校途中の生徒まで見える。
夏目はなんとなく、美園はこの場所が好きで来ていたのではないかと思った。
そして、過って転落を……
想像したくもないことを想像してしまい、夏目は頭をぶんぶんと振った。
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